マギ

□12夜 暴君
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「やあ〜!
いよいよ【迷宮(ダンジョン)】らしくなってきたじゃないかー!」

おー…今すぐ探検したい!

入り口が竜の顔!

食べられる感じか!!

「いかにも“宝物庫へ”って感じの門だよね
ちょっと品がないシュミだけど…」

品がないって…

かっこいいじゃん!

お前が美的センスないんじゃね?

「おやおや、何か文字が掘ってあるね…
古代文字が何かかな?」

古代文字!?

それは興味がそそる!

オレは静かに領主の隣に立ち石板を見る

『ん?』

あれ?

これどこかで見たよーな…

どこでだっけ?

うーん…

〈カイ、これは“トラン語”だ〉

《トラン語?》

〈ああ…【迷宮】は全てトラン語が使われている
この土地ができる前からとある民族が使っていた言葉だ〉

《へぇ〜》

「“トラン語”…
現在も南部の少数部族で使われてるアレかな?」

〈まだ使われてるのか…〉

《訳、できるか…?》

〈ああ〉

《やってくれないか…?》

〈それは無理だ〉

《なんで》

〈読めるやつがいるだろ?
そいつに聞け〉

《…ケチだな…》

〈なんとでもいえ〉

「えーと…
訳は…」

あ、読めるやついた…

「“この道は、竜の…
真実点…”
…?
いや、ちがうな…」

前言撤回

こいつは読めない…

「“竜の牙を越え”
“真実へ辿り着け”
“すべては竜の尾にあり”じゃないスかね!?」

すっげー…アリババ…読めるんだ…

ザクッ

うわっアレは痛い!

二の腕にかなり刺さったよ、アレ!

「今からそれ言おうと思ってたの」

領主は読めなかったことを隠すかのようにアリババにあたった

『アリババ、大丈夫か?』

「ああ…大丈夫だ…」

『なあ、お前、トラン語読めるんだな』

「まぁな…
あ、そうだ
お前に教えてやるよ、あのトラン語」

『えっまじか!』

「ああ…実はな…ゴニョゴニョ…」

『!!
マジで!?』

「ああ」

『さすがだな、アリババ!
やることはえげつないけど…』

「領主を騙すにはサイコーだろ!?」

『そうだな!』

オレとアリババはハイタッチをする

ちなみにアラジンは背中におぶってるから大丈夫だ!












石板からまた歩くこと数十分

見るからに罠だとわかる場所に着いた

「……領主様……これは?」

「ははっ!
この時のための罠役だろう、君ィ!
今度はでしゃばってもいいぞー」

「………………」

これはヤバイな

これがいわゆる剣山か……

一回でも当たれば致命傷か……

アリババに何も起きないことを願うよ

「がんばれー」

そう思ってないだろ、領主よ

さっさと消えろって思ってるのがバレバレだって


「スゥ…」

ダッ!

行ったーーーーー!!

領主を睨んでる間にスタートしたぁぁぁ!!


ドドドドドドド

何本もの剣が地面に刺さる

それを素早いステップでかわす

『おーーー…すげぇ…』

これにはすげぇとしか言えない

「ゴールだっ!!!」

『カッコいいぞアリババ!』

「は〜っ……!
助かったっ…」

ガコン!

『!!
アリババ!』

いきなりアリババが地面の中に消えた

オレは走ってアリババが落ちた場所に向かう

剣?

んなの〈防御魔法(ボルグ)〉があるから大丈夫だ

『アリババ!!
……くそっ……穴が消えた……』

いや……アリババが地面の中に消える前、音がした……

と言うことは穴のふたが開いたってことか……

アリババ、生きてることを願うぜ!




そのころ領主達はというとゴルタスを盾にして剣山を通過しているところだった

うん、やっぱり領主は下等だな…

「魔導師って不思議な技を使うね
どうだい?マギなんかじゃなくて僕のもとでその力を使わないかい?
心配いらない、マギも僕のもとで使うからさ……」

『…………下等が…(ボソッ』

「何か言ったかい?」

『いえ…
私の力を領主様に使えるのは有難いことです
ですが…私は生まれた時からマギとマギが選んだ王に力を使うように教えられましたゆえ…
まだ王になられてない方には力を使えないのです…』

「……ふぅ〜ん……」

『では、参りましょう?
マギの体力も戻り始めてますので途中で目を覚ますでしょう
目が覚めましたら教えて差し上げます』

「必ずだよ」

『はい』

うん、やっぱりこいつはオレもアラジンも道具として扱う最低なヤツだな

ここのジンはわかるのかな……

王にはむいてないって……




歩いてて気づいた

先頭を歩く女の子が穴を避けて歩いていることを

オレはルフが教えてくれるからわかるけど……

何かで察知してるのかな……


ああ…古い死臭か…

って、死臭!?


ぜんぜんわかんねぇよ?

あの子の嗅覚は犬並みなの!?

ある意味すげーよ!

なんか、勿体ないなぁ…

領主のせいで二人の持ち味が半減してる気がする……

「ぅ……ん…?」

『お目覚めですか、マギよ』

「?
カイくん?」

『話は後だ
今、オレはお前の付き人役してるから
、変な呼び方してるけど気にすんな(ボソッ』

「うん…
あれ?アリババくんは?」

『……アリババは…』

ヤベェ…なんて言ったらいい?

罠に落ちて行方不明とは言えない…

「?」

『悪いけど、それも後でいいか?』

「?
わかったよ……」

『ありがとな…
アラジン、オレの隣に立ってくれ』

「うん」

オレはアラジンをゆっくりと下ろす

『領主様、マギがお目覚めになられました!』

オレはアラジンが隣に立ったのをみて領主に聞こえるよう言った

ピタッ

オレの声を聞いた領主は立ち止まりアラジンに笑顔をむける

「やあ、お目覚めのようだね」

領主は裏のありげな笑顔でいった
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