マギ

□13夜 望郷
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オレはアリババが持ってきた布を広げてその上にアラジンを座らせる



しーーーーーーん…………





かなりの静けさ……


ここにアリババがいればな……




「やあ!
おねえさん、また会ったね」

「…………(ムスーーン」

む、無視!!

「……」

ミヨーーーン

『ブッ!あ、アラジン……!!』

か、顔が……ww

アラジンは顔を横に引っ張ったり縦に引っ張ったりしている

「…………(ムスーーン」

す、すごい…………

これを無視出来るなんて…………ww

『ア、アラジンw
や、止めてくれ………ww
腹筋がwww』

わ、笑いが止まらないwww

ぐるぐる

アラジンはターバンを回す

ま、まだあるのか……!!

これにはモルジアナも気付いた

「領主さま!」

アラジンはターバンを使って領主の髪形を真似て、だらけた体制を取る

『ブッwww』
「くっ…」

はっ!っと自分の今さっきの反応に気付いたモルジアナは両手で口を押さえる

あ、笑ったな、これは…………

「わーーい
やっと少し笑ったね〜おねいさん」

「笑ってません…………」

「笑ったよ?」

「笑ってません!」

『いや、確実に笑ったよ?
笑うことはいいことだよ?』

「だから……笑ってません!」

『そう?』

「おねえさんって〜〜笑うと美人さんだよね〜」

「…………」

『ああ……笑みを見せないのが勿体無いくらいだ……』

「でも、ちょっと変わったお顔をしているね……
“あんこくたいりく”から来たからかい?
“あんこくたいりく”ってどこの国だい?」

「…………(ムスーーン」

あら?

「……国じゃない……」

あ、答えてくれた

「“暗黒大陸”は…“レーム帝国南方属州以南は未開発だ”ーー…という意味で付けられた…私の故郷カタルゴの蔑称です…
やめてください(ムスーーン」

「へぇ……未開発の土地なのかい?」

「み、未開発なんかじゃほんとはないです…………
国もあるし、村もあるし……
太陽はきれいだし…大地は広いし、大きな動物たくさん
おいしい果物もたくさんあるんですから……」

『いいな、そこ…
行ってみたいよ…』

「そうだねぇ
いいなあ!
太陽に果物に動物かぁ…
おねえさんの故郷って、何だかとっても楽しそうなところだね…」

「…………」

ぎゅう…

『!』

あれ…?

もしかしてこの子……

あまり覚えてないのか…?

オレと同じだな……

オレも家はあったけど本当の家じゃないって感覚があったし、故郷じゃないって感覚があった

オレの故郷って何処だろう……

「はー、よのなかは知らないことがいっぱいだねぇ」

『!』

「僕の知らないどこか遠い国で、きれいな太陽と、広い大地で、楽しく暮らしている人たちがいるんだね……」

「……」

「会ってみたいなぁ〜…
行きたいな……
おねえさん、つれて行ってよ」


「それは…」

ギュッ…

「無理です…」

「どうして?」

アラジンの頭上には?マークが浮かんでいる(のがわかる)

「どうしてって……
私は奴隷ですので……逃げられません」

「逃げられるよ
この間みたいに鎖を切れば
二本の足で、おねえさんの故郷まで行けるじゃないか」

ああ……鎖を切った犯人はアラジンだったのか……

納得

「……………
あなたは何もわかっていない
鎖を切ったぐらいでは領主様からは逃げられない」

うん、それはごもっとも

「あの人は怖い人…
絶対に逃げることなどできない…」

うん、それはわかるよ

アイツの笑顔には変な感じがするからさ……

「え?
できるよ」

「できません」

即答だな……

「なんで?」

「なんでも…」

即答その2

「なんで?
なんで?」

「なんでも!!
できないものは、できないんですっ!!」

………子供同士の言い合いか!
って思ってしまった………

「でも僕は……
逃げられると思うけどな……
おねえさんにそこまで言わせる見えない鎖を、領主様がもっているんだね………」

ここまでくるとアラジンの無知が恐ろしい…

「………知ったようなことを……(ボソ…」

モルジアナは再び両手を後ろに組む

「あなたの言うことは意味不明です…
領主様をなめているとご友人と同じ目に遭いますよ…?」

「えっ、それって……」

アリババのことだな……

「一緒にいたもう一人の男の子ですよ…
彼…領主様に罠避けにされて…」

うん、アリババのことだな

アラジンはどうなったのかドキドキしながら聞いてる(のがわかる)

ガコッ…

『ん?』

オレの頭上からした石が動く音

モルジアナとアラジンは気付いていない

オレは音がした方を見る

「ご友人は…」

パラ……

石屑が落ちてきたことに気づくアラジン

オレにつられてアラジンも見る

いまだにモルジアナは気付いていない

「ご友人は……」

にゅっ

頭上にある石枠から顔を出した人物

「死んでしまいましたよ!!」

モルジアナは力一杯言い切った


顔を出した人物は













死んだはずのアリババ








『「……………」』


アリババの登場の驚きで声がでないオレとアラジン


「………………生きてるよ」


小さく聞こえる懐かしいアリババの声


どういったらいいのかわからなくなるオレとアラジン

モルジアナはそんなことを知らず同じフレーズをいう

それにアラジンはオロオロする

「“立ち場”をわきまえずに領主様の気分を害したから……!
あなたたちも……“立ち場”に気をつけないと………」

くるっ

「死んでしまぷっ」

モルジアナの顔に布が被さる

もぞもぞ………

「!?
あれっ?いない!?」

『ナイスタイミングだな、アラジン』

「えっ!?」

バサッ……

風の起きない場所で起こった強風

モルジアナの手にあった布は吹き飛ばされた


「そうでもないよ、おねえさん」

「え……っ!!?」


バサバサ……


モルジアナは今目の前で起こっている事が信じられないような目をしている


ヒュゴオオオオ…


ターバンに乗って宙に浮くアラジンとアリババ

そのとなりで宙に浮くオレ

ターバンによる力で風が吹き荒れる


「ごめんね、おねえさん
僕ら、もう行くけど…
また会おう…
見えない鎖が切れる頃…
一緒に太陽を見に行こう!」

「知ったふうなことを言わないで…」

ザワァ…

『あ、これは……』

ヤバイ……


ダンッ

メリィ……


『!!』

あ、足がめり込んでる……( ; ゜Д゜)

「私たち、奴隷の人生がどんなものか……少しも知らないくせに!! 」

ビキビキ……


怒ってる!

めっさ怒ってるよ!!

「おいおいおい……」

アリババもビビってる


ズシャズシャズシャ……

『「ひいいい!!」』

怖い怖い怖い!!

壁登ってる!

走って登ってる!!

壁ヒビいってる!


「アラジン上!上!」

アリババは半泣き状態でアラジンに指示する

これにはアラジンも焦る


「待て!!」

ばっ!!

モルジアナは一蹴りで壁跳びをする



スカッ


モルジアナの伸ばした手はターバンを掴めなかった

「くそっ!!」

ダァァン


『せ、セーフ……』

モルジアナがしたに着いたのを確認して安堵の息をつく

「おまえら、走るぞ!!」

『あ、うん!!』

いつのまにターバンを巻いたのか準備万端のアラジン

オレはそれに苦笑いを浮かべつつも走る

「わあああ
アリババくん生きててよかったぁ〜!
もう、どうしたの?
なんか血ィ出てるよ〜」

キャーとかウフフフとかよくわからない感情を出しながらポコポコ叩くアラジン

「うはは
超痛え
触んな!!」

それをアリババは涙目で言い返す

かなり痛いのだろう

それをオレは苦笑いで見る

『でも、なんでそんな怪我してんだ?
落ちたとこになんか罠でもあったのか?』

「その説明は後だ
スゲーもん見つけたんだ!
行くぞ!!」

説明を後回しにするほどすごいものってなんだ?

ってか、どうやってあそこまで来たんだ?

オレは道案内されながらそう思った

何故なら、穴になっているところを降りたりしたからだ





「ここだ!!」

「!!?
この扉は……!?」

『すっげぇな……』

目の前には巨大な石の扉


ゴールが近づいていることがわかった気がした
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