ONE PIECE

□幼少期
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富、名声、力

かつてこの世の全てを手に入れた男
“海賊王・ゴールド・ロジャー”

彼の死に際に放った一言は全世界の人々を海へと駆り立てた


『おれの財宝か?欲しけりゃくれてやる!
探せ!!この世の全てをそこに置いてきた…』

男達はグランドラインを目指し夢を追いつづける


世はまさに大海賊時代!!















ゴア王国の中心地


とある貴族が住む家


そこに緋色の髪を持つ女の赤子が産まれました


その赤子の名前はエル


両親に愛されながらスクスクと育ち

1歳の誕生日を迎えました



「お誕生日おめでとう、エル」

「おめでとう、エル」

あーとー(ありがとう)

「ありがとう、ですってあなた」

「ありがとうって言ったな…
パパ、うれしいぞ…!」


この家族は幸せな誕生日を過ごしていました










しかし、事件は突然起きました






〜回想〜

「ねえ、あなた…?」

「なんだい?」

「この果物、綺麗な色ね…
まるでエルみたい」

「そうだな…
形も色も綺麗だし…
エルの1歳の誕生日にデザートとして食べさせよう」

「そうね」

〜回想end〜


「さあ、エル」

『?』

「パパとママからのプレゼントだよ」

机の上に置かれたのは鮮やかな赤色のザクロのような果物

「さあ、食べやすいように切ってあげるわね?」

「あ、その前に写真を撮らないとね?
娘の初果物だから」

「そうね」

父親はカメラを取りだし写真を撮ります

「それじゃあ切るわね?」

母親は果物ナイフを取りだし果物を切ります

目の前で綺麗に盛りつけされる果物

エルははやく食べたくて仕方ありません

「さあ、出来たわ」

母親は切った果物の一欠片をフォークに刺してエルに渡します

エルは大きく口をあけて果物を食べました

それも幸せそうに

それをみた両親も食べました

しかし…


「「!!?」」

相当不味かったらしく洗面所に駆け込みました


それを見ていたエルはキョトン顔で果物を眺めていました


それから暫くして両親が戻ってきました


かなり不味かったのか顔色がすぐれていません


それを知らないエルは両親に笑顔で果物の欠片を渡します


「エル…パパとママはもういらないよ…
それは美味しくない…
まだ完熟してなかったんだ…」

「そうよ…
だからもう棄てましょう…?
お腹を壊してしまうわ?」

『やー!!!』

エルは首を横に振ります

だって美味しいのに

まだ食べたいのに

パパとママと一緒に食べたいのに

そう言いたくてもまだ言葉がしっかりしていないので伝えることが出来ません

「ねぇわかって?
それは美味しくないの」

『やー!!!』

エルの目には涙が浮かんでいます

「エル!!!!!」

『!!』

父親の突然の大声に驚き、手に持っていた果物を落とすエル

『ふ…ぇ…』

果物を落とした悲しさと父親に怒鳴られた悲しみで涙が止まりません


「あなた…」

「す、すまない…つい…
ごめんな…エル…」

父親はエルを慰めようと手を頭に乗せましたが…


「っ!!!」


突然目の前に見えた朱色の炎に手を引っ込めました


「なっ!?
燃えて…る…?」

「うそっ!?
どうして…!?」

突然の出来事に両親は困惑します


何故なら最愛の娘が朱色の炎に包まれているのだから…


「ちょっ…!
あなた、エルの手を見て!」

母親はなにかに気づきました

「ウソだろ…」

父親は驚愕しました



何故ならエルの手が人の手ではなく、鳥の翼になっているのだから…



「悪魔の実…?」

父親はぽつりとその名前を呟きました

そして走って書斎に行き、机の上に置いてある本を持ってきました


母親はというとどうにかして泣き止まそうとしています

思い付いたのがお風呂です

母親は娘が出す炎を我慢してお風呂場につれていきました

「さあ、お風呂に入りましょ?
今日は特別にお洋服を着たまま入りましょう」


エルはお風呂に入って落ち着いたのか、炎は消えて、手も元に戻りました

「あら…?
火傷してない…?」

よく見れば服も焼けていない

娘もそうだが、自分も焼けていない…

母親は気味が悪くなりました

「やっぱり…これだ!!」

父親は何かを見つけました

「見つけたぞ!
エルの発火原因!!」

父親は娘がいるお風呂場に向かいました


「わかったよ、エルが発火した理由」

「なんだったの…?」

「“悪魔の実”さ…」

「悪魔の実ってあの…?」

「そうさ…これを見てくれ…」

父親は書斎から持ってきた本を母親に見せます

そこには娘が食べた果物と同じ果物が載っていました


「名前は“トリトリの実モデル朱雀”」

「トリトリの実…」

「それもかなりの激レア種
幻獣種の分類だ」

「うそ…なんでここに悪魔の実が…?」

「それは多分…この実の形のせいかもしれない…」

「え?」

「この実は普通の果物と変わらない形、色をしている
この実は見た目がザクロだ
オレ達が買うずっと前の時代にもこいつは出現し、オレ達が買った時と同じザクロだった」

「ってことは…この悪魔の実は隣に同じ果物があったら見分けがつかないってこと…?」

「ああ
オレ達は運悪く悪魔の実を選んじまったってわけさ…」

「そんな…」


突然最愛の娘が悪魔の実の能力者になってしまったのです



母親はそのような事実は受け止められません

父親だってそうです

ですが時間が解決してくれます



でも、それは不可能です


何故ならここはゴア王国


悪魔の実の能力者は塀の外側の人間と同じような扱いをされます

それがたとえ貴族であってもです

家族のうち誰かが能力者だった場合はその家族全員が他の貴族から外側のに同じ扱いをされます


それは貴族の間ではそうするようにするのが暗黙の了解です

「…エルには悪いが…この場所から出てもらおう…」

「なっ!?」

「ここでは能力者は差別の対象だ
それにここで育っても良い大人にはなれない…
だったら外の世界で幸せになったほうがいい…」

「…」

「大丈夫
外の世界にはオレの知り合いがいる
その人に頼めばエルは幸せに暮らせる」

「でも…」

「でもじゃないんだ…
このままだとオレ達まで差別の対象になる
親が差別を受けているところを子どもには見せたくないだろ?」

「…そうね…
私たちだけならいいけどそれを娘には見せたくないわ…」

「よし、決まりだ…
オレは知り合いに連絡してみる
おまえは能力が発動しないように細心の注意をはらってくれ」

「わかったわ」



こうしてエルは両親と離れて暮らすようになった

能力者になったという理由だけで…
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