マギ

□12夜 暴君
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こいつが……チーシャンの領主?

どーみても器が真っ黒じゃん……

ああ…こいつがチーシャンの闇の根源か…

まあ、こいつにアマトを聞いてもわかんねーだろーし、大柄な男は喉をやってるから喋れない

少女に関しては領主のせいで喋れらないだろう……

見てわかった

こいつが下等な人間だと

人を物として扱う外道だと

さて……こいつをどうしようか……

アラジンがマギだとしたらこいつに渡したらヤバイ

こいつは手に入れた力を自分のためだけに使うだろーし、アラジンも自分の所有物として扱うだろう

だとしたらアラジンを渡さないようにしないとな……

運良くこいつはアラジンをマギだと思い込んでる

それを使うか……

「やあ……怪我なんかしてないかい?」

領主は眠っているアラジンに話しかける

『ご安心ください、チーシャンの領主よ
マギは怪我などしておりません』

オレは攻略者の証が見えないように杖を持ち、領主に話しかける

「……きみは?」

領主は疑い深くオレをみる

あぁ…この目……嫌いだな……

『私はマギの側近である魔導師です
今はマギを護衛しております
マギはあなた様に会うことを心待にしておりましたが、何故幼いため今は眠っておられます』

オレは歯が浮くような言葉遣いをする

オレの言葉に領主はうっすらと喜ぶ顔をする

「そっか
わかったよ
だったら君は帰ってもいいよ
後はゴルタスが守るからね
ゴルタス!」

ジャラ……

領主の言葉に反応し男が動く


『それはなりませぬ』

バチィ

オレの〈防御魔法(ボルグ)〉はアラジンに触れるゴルタスの手を弾いた

「…………」

「……ちっ……」

『マギはあなた様のような人間の力だけでは守れません
マギは魔法使いの中の王!
あなた様のような方々とは違って同じ魔法使いが側にいないと力を発揮できません
つまり、あなた様が大業を果たしたとしても王にすることができないのです!』

よくこんな嘘が言えるな、オレ……

まあ、いっか……

人を物として扱わないやつにはこれくらい

「……ちっ……」

『マギを連れていくなら私も連れて行きなさい
それが出来ないのならばマギと話すこと、触れることを禁止します!』

「……わかったよ……
でも、邪魔したら側近であろうと殺す……!!」

『わかりました
では、私がマギを連れていきます
あなた様は攻略を進めてください
私が後ろからサポートいたします』

「それじゃあよろしく頼むよ」

『はい』

よし、同行作戦成功!

あとは……アリババか……

いい方向に転がることを願うよ……














と言ったけど …











修羅場来たーーーーーーー!!!!!










ほんの数分で何故戦闘に変わる?

ってか、一般市民はテメーも同じだろーが!!!!!

“待てっつってんだよ”だけでキレるのはあり得ないって…

どんだけ温室育ちなんだよ…

あー…ここにいるのがこいつとオレだけだったら魔法で攻撃して大人しくすることが出来たのに…

はあ…

おっ!

紙一重で攻撃をよけた!

すっげー反射神経だな!


「いきなり何すんだよ!?」

アリババ、今めっちゃカッコいいぞ!!

アリババはゴルタスの右腕を後ろに回し、ナイフをゴルタスに向ける


鋭い目付きでアリババは領主を見る

パチパチパチ…

領主は敬意を表するような笑みでアリババに拍手を贈る

「すごいじゃないか、君ィ!
子供が今のをよけるなんて…見直してしまったよ!」

アハハハ、と笑いながら領主はアリババ達に近付く

それにつられてアリババはひきつった笑いをする

ドスッ

『!!
マジかよ…』

「に比べて…
お前…
使えないね…」

ドスドス

領主は無表情でゴルタスの腹に剣を突き刺す

「労働は、人間の責務だよ…
君……」

グリグリ……

グチャグチャ……


オイオイ……やりすぎだって!

こいつ、マジでイカれてる!!

こんなやつにアラジンなんて渡せない!

それにアリババもだ!

奴隷でも人間だろうが!

マジでこいつ人間じゃねぇ……

「そうだ!君
僕の役に立ちたいと言っていたね
見直したから働かせてあげるよ」

領主はゴルタスを痛め付けた剣の先をアリババに向ける

「先頭を歩き、僕らの罠避けになってくれよ
それだったら連れていくけど、やるのかやらないのか
俺の目を見て…答えろ!!」

血の気の引いた顔をしたアリババ

よく見ると震えている

『あの…領主様?』

「ん?」

『隣の男を治療しても…?』

オレは腹から血を流すゴルタスの前に立つ

「…は?
奴隷に治療なんていらない
治療するならオレだけにしろ!」

領主は冷たい目でオレをにらむ

『は、はい…
かしこまりました…』

あの目には敵わない…

オレは仕方なく諦めた


しかし、それは表面上


『…ルフ達よ…
血止めだけでもいい…できる者は彼を治療してくれ…』

オレは領主達に聞こえないようにルフ達に伝えた

すると素早く2つのルフがゴルタスの腹部で輝いた

『ありがとう…』

“どうってことないさ!”

ルフはそう答えた


「…で、どうすんだ?
罠避け…するの?しないの?」

「……し、しま…す

やらせてください…」

「そうこなくっちゃ!
んじゃ、罠避けお願いね」

「…はい…」

あっちは話が着いたようだ










『…アリババ…?』

オレは片付けをするアリババに話しかける

「…気にすんな…
あいつがお前らを人質にされてる限り、俺は従うフリしか出来ねぇからな…」

『悪いな…
アラジンを守るためのウソがお前の行動を阻む枷になっちまってさ…』

「いや…
俺にとっての枷は領主の登場だから気にすんな
さ、行くぞ」

『そうだな…』

「お待たせしました、領主様」

アリババは営業顔で領主に話しかける

『さて、参りましょう
領主様、よろしいですか?』

「ああ」

アリババ、少女、領主、ゴルタス、オレとアラジンの順番に穴から出る

歩く順番もそう


迷宮(ダンジョン)】の中は嫌な空気でいっぱいだ

その根源は領主から

アラジン達三人で攻略するときは明るかったのに、今では暗いし重い

それにアラジンの笛は領主に取られてしまった…いや、盗られた


預かるとは言っていたが顔がそう言ってなかった


歩くこと数十分

地面が岩肌からレンガに変わった
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