マギ

□5夜 チーシャン
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それにしても………変わった世界だなぁ…

光があるところを見ればキラキラと輝いているけど

光が当たってないところを見れば服がボロボロの人がいる

そしてそのような人間は目に光がない

小さな子もその中にいた



『………………ライズ………』

〈なんだ?〉

『これが人間の世界の光と闇か………』

〈………ああ………〉

『最悪だな』

〈そうだな………〉


じー……

『ん?』

足元から感じる視線に気付き、オレは視線を足元に向けた

じー……

オレを見ていたのは幼い少女

物欲しそうな目でオレを見ている

『………ほしいのか?………』

オレは右腕で抱えてあるリンゴを指差す

「………」

コクリ…

幼い少女は小さく頷いた

『ほれ
仲良く食べろよ
5個やるからよ』

「ありが…と」

オレは幼女に裾を持つよう言ってからリンゴを入れた

『どういたしまして
落とさないようにしろよ?』

「うん
ありがとう、」



あー………リンゴはあと3つか………

まぁいっか!

なんとかなるだろ!

〈優しいんだな〉

『優しい?
ただあんな目で見られたらあげたくなるだけだ!』

〈だが、5個もあげたんだろ?〉

『………まぁな…1個だと取り合いになるだろ?』

〈そうだが…他の理由もあるだろ?〉

『………まあな………
壁で死角になっててわかんないだろうが何人か隠れてこっちの様子をみてる

オレはそれが気になってな………』

〈ほれ、やっぱり優しいんじゃないか〉

『………』

「おにぃ…ちゃん」

「リンゴのおにぃ…ちゃん」

あれ?この子、双子だったのか!

『ん?』

「ありがと!」

「ありがとう!」

『!!』

な、何て笑顔なんだ!!

ピィィィィィ…

お、ルフも喜んでる!

「おにぃちゃん、これ!」

「リンゴのお礼!」

双子の女児が出したのは1輪の花

綺麗な黄色の花だ

『お礼なんていいのに…』

「本当はキラキラ光る石を渡したかったんだけど見つからなくて………」

双子はしょんぼり顔をする

『!!
そんなことないよ?
お兄ちゃんはこれでも十分嬉しいよ
ありがとう!
大切にするから、そんな顔しないで?』

「本当?」

「本当に?」

『本当に
ありがとう』

「「どういたしまして!!」」

ちょ………その笑顔は反則!!

『またね、お花ありがとう!』

「バイバーイ」

「おにぃちゃん、バイバーイ!」



あの笑顔は反則だろ!!

オレは走りながらそう思った










『ハァハァ………走ったぁぁ………』

落ちなかったリンゴまじでグッジョブ!

ちょっとだけ休憩タイム!!

シャクシャク………

『はぁぁ………リンゴうまぁぁ〜』

〈リンゴが好きなんだな〉

『まぁな!
リンゴに勝る果物は知らん!(キリッ』

〈食ったことがないだけだろ〉

『そうとも言える
走り回って疲れたから宿を見つけるか………』



チーシャンを歩き回ること数十分

さすが迷宮で繁栄した都市

至るところの宿は満員だった

やっと見つけた宿はお世辞にもきれいとは言えない宿だった

だが、宿のご飯は格別美味しかった
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