狩人

□1982年
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イルミ視点


最近母さんのお腹が太ってきた。
お腹だけ太ってるから、なんとも言えないけど。

父さんに聞いたところ俺の弟というものが入っているらしい。

「なんでお腹の中に弟がいるの?変だよ。」

素直な疑問を父さんにぶつけた。

「ッフ。お前も母さんのお腹から生まれたんだ。パピ子と一緒にな。」


................................。


「父さんでもジョークを言うんだね。俺びっくりだよ。
驚いて冷や汗かいちゃったじゃん。シャワー行ってこよっと。」

(イルミ....。これはジョークじゃないんだが...。)


とりあえず半信半疑だったから通りすがりの執事に尋ねる事にしたんだ。
弟なんて嬉しくもないのが出来るなんて嫌だからね。

「ねぇ、ヒシタ。母さんの中に弟がいるって本当なの?」

「はい、坊ちゃま。その通りでございますよ。」

どうやら本当だったらしい。
ヒシタが言うには、父さんと母さんが愛を育んで出来たという。
ちょっと良くわからない。

それにしても弟か…。
兄弟なんてパピだけでいいのに。



もし…もし俺より構うようになったら?



ああそうだ、殺せばいいんだ。

きっとパピは俺を許してくれる。
俺だけのパピだし。うん、大丈夫だよね。

あーすっきりした。


『ねぇ聞いたイルちゃん?
弟が生まれるんですって!私とても楽しみだわ。』

「……。
弟なんて…俺だけで良いじゃないか…。
俺じゃ不満なの…?」

『え…?何か言った?』

「…。なんでもないよ。」

『ふーん。
あ!でもね。私の一番はイルちゃんだよ!私の大切な片割れだからね。』

「あ、そう。」

どうやら俺が一番心配していたことは余計だったらしい。

そういえばこんな事を聞いた。
結婚という儀式を行えば一生一緒にいなければならないという話。

「パピ、結婚しよう。」

『…?結婚って大人にならないと駄目なんじゃなかったかしら?』

「そうなの?じゃあ大人になったら結婚しよう。」

『あれ?そういえば兄弟って…「こらパピ子ちゃん!イルミちゃん!!訓練がまだ終わっていませんよ!!」』

『ああーっ!見つかっちゃった!
イルちゃん行こう!!』

…さっきの言葉の続きが気になるが訓練も大事だ。
俺は立派な暗殺者にならないといけない、そう父さんと母さんに教え込まれた。

しかたない、また今度話そう。

…あ。シャワー浴びるんだった。
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