暁学パロ(鳴門)

□夏休み
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「行かないんじゃねぇのか?
もしかしてお前、綺一が好きだから俺達の抜け駆けが許せないとかかぁ?」



やっぱ行く。と言ってきたサソリに対して飛段がニヤニヤしながら言う。


「旦那って、綺一のこと好きなのか?!」


焦ったようなデイダラの発言に、まだ残っていた女子が静まり返えった。



「ぁあ?なんでそうなるんだよ。

…そもそも色気が足りねぇ。」


眉間にいっぱいのシワを刻んだサソリは、否定したあげく色気が無いと言い放った。


「悪かったな、色気無くて!」


ガタッと立ち上がった私がそう答えると、静まり返った女子達から安堵の溜息が聞こえた。



「なんだ、好きじゃないのか。うん。」

なぜかデイダラもほっとしていた。



「ゲハハァ!
そんなこと言ってるとそのうち取られちまうぜぇ!」


飛段は私が取られてしまうと言った。平凡な私を貰ってくれるお婿さんなんているのだろうか。
まだ先の話だが。



「そんときゃ、奪い取ればいいだけの話だ。」


ゆっくり立ち上がりながら、ボソッと聞こえたサソリの声に私を含めた全員がザッとサソリを凝視した。



「なっ……な!」

デイダラは口をパクパクさせている。



「言うじゃねぇかぁ!!
サソリィ!!」


飛段はゲハハァと笑いをこぼしながら言う。



「あの、サソリさん?」


私は少し赤く染まった頬を気にしながら、サソリを問いただそうとする。

するとサソリは私の方に向き直り



「なんてな。」




と、私の頬をスルッと撫でた。





「って嘘かい!このチビ!」


頬を赤らめた私が馬鹿だった!
撫でてきたサソリの手をパシッと払いのけ、罵声をあびせてやった。




「あ?てめぇが言えんのかよ。」


するとサソリは払いのけた私の手を掴み、グッと身体を近付けた。

コブシ一個分先にあるサソリの赤い目がギラリと光る。



「サソリくんごめんごめん!今のは冗談冗談!」



冗談じゃないくらい凄い力で掴まれた私の手はきっと、赤くなってしまうだろう。



サソリの身長は164cm、私の身長は152pなので少し見上げる形になる。




「おいおい!仲睦まじいとこ悪いんだがよ!
見ててムカつくから離れろ!」


飛段が叫んだ。


「…帰ろうか、サソリくん。」


これ以上クラスの注目を集めるわけにはいかないので、帰ることにする。


サソリは数秒私を見つめたあと、スッと手を離し、机にかけてある鞄を取った。


「デイダラと飛段も帰ろ。」


私も鞄を取り、デイダラと飛段を誘う。


「ちっ…見せつけてんじゃねぇっつーの!」


「……うん。」


一言ずつ文句を言いながら帰り支度をした2人とサソリと一緒に教室を出た。


私達がいなくなった教室からは女子生徒の奇声が響いていた。
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