お菓子の魔法


□兄弟抹茶ロール
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学園内にあるサロン・ド・マリー
そこで、Aグループの五人はスイーツを食べている
祥子も、天野さんが転入してきてからというもの、スイーツ王子と呼ばれている三人と行動を共にすることがかなり増えた

ところで、その天野さんはサロン・ド・マリーで面白い程の食欲を発揮し、たくさんのスイーツを平らげ、緩み切った幸せそうな顔をしていた
天野さんの状態に気付いた樫野君が、驚愕の声をあげる

「おい、天野!」
「いちごちゃん!?」
「もう全部食べちゃったの?」

樫野君に続き、花房君、安藤君も天野さんの大食いっぷりに驚く

「つーか皿を積むな!回転スイーツか!!」
「気を確かに」
「女の子がそんな面白い顔しちゃだめだよ!」
「食い過ぎだ、太るぞ!」
「うるっさいわね!ケーキは別腹っていうでしょ」
「だけれど、思うままに食べて後で後悔するのは天野さんなのよ」
「ゔっ・・・あれ?」

天野さんの視線の先には、生徒会長の天王寺真理先輩がいた
花房君が、天野さんに天王寺会長の事を教える
ちなみに、天王寺会長も良家のお嬢様で、寮も特別室に入っている
祥子も面識はないが、父について行ったパーティで見かけたことはある

サロン・ド・マリーの外で、天野さんが自分も天王寺会長のようにお店で働きたいと言い出し、呆れたように樫野君が天野さんに言った

「初心者が働けるわけないだろ。そもそも中等部の生徒じゃ無理だ」
「無理じゃないもん。あたしだって定員さんならきっと」
「店員だって高等部の生徒じゃなきゃなれねぇんだよ」

そんなぁ〜。と落ち込む天野さんに、花房君がいい店を知っているという

「安藤の家。和菓子屋だから」
「そうだったんだ!」
「うん。週末はいつも帰って、店を手伝ってるんだ」
「明日は、僕も樫野も行く予定だし、いちごちゃんも来るかい?」

花房君の誘いに、樫野君は「余計な事言うな」と止めるが、それを押しのけて、天野さんが安藤君に「行っていいの!?」と問いかける

「もちろんだよ。天野さんも、是非手伝いに来てよ」
「わーい!!あっ、小笠原さんも行くんだよね?」
「それはいいね。いちごちゃんも来ることだし」

祥子は話が自分に向いたことに驚き、天野さんにキラキラとした目で見られていることに戸惑った

「でも、あまり大勢で行って、ご迷惑にならないかしら」
「そんなことないよ。小笠原さんも、もし用事がないなら来てくれると嬉しいな」

安藤君の言葉が社交辞令だとしても、祥子は乗ることにした

「では、皆様とご一緒させて頂きます」
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