お菓子の魔法


□林檎のバースデーケーキ
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今日は、ぴよぴよ幼稚園でのボランティアの日
毎月、お誕生会にバースデーケーキを作って持って行く
今日はA・B・Cグループのメンバーが来ていた

「みんな〜聖マリーの皆さんが来てくれましたよ〜」

幼稚園の先生に案内されて入った教室では、其々好き勝手に遊んでいた園児たちが、一斉に駆け寄ってきて、好みの生徒にじゃれついている。中には悪ガキに分類されるであろう子供も居て、天野さんが祥子の隣で園児にスカートをめくられ、怒って暴れそうになっているところを樫野君に止められていた

先生が園児たちを諌めて座らせ、お誕生日の園児たちが紹介されて、ケーキのお披露目となった
Cグループは「サクランボケーキ」
Bグループは「ヒーローケーキ」
Aグループは「プリンセスケーキ」とグループごとに披露する

園児たちがそれぞれのケーキを皆で食べているなか、一人ぽつんと離れて座っている女の子が居た
小泉さんが声をかけ「りんご」と呼んでいたり、話し方から彼女のご姉妹かと思っていたら、本当に妹さんだったらしく、小泉さんの実家があった青森から、先月家族で娘のいるこっちに引っ越してきたそうだ

小泉さんの後は天野さんが声をかけ、苺と林檎で同じ果物の名前だと話していると、先ほど天野さんのスカートをめくっていた園児が、「いちごパンツと林檎ホッペが仲良くしてるぞー!」と指を指してからかい始めた

天野さんが怒って、園児を追いかけまわしているうちに、りんごちゃんは黙って外に出て行ってしまった

「あれ?りんごちゃん?」
「そこに座っていた子ならあの遊具の中に入って行ったわ」

祥子が指示した遊具に天野さんは向かって行った


帰り道、りんごちゃんの誕生日が来月と知った天野さんが、自分がバースデーケーキを作ると約束してきたらしい。Aグループの五人が居る中で天野さんがりんごちゃんとの会話を報告する

「天野。安請け合いして知らないぞ。皆と仲良くなれるケーキって、どんなんだよ…」
「いちごちゃん。いいアイデア、あるの?」
「うん…。りんごちゃんのケーキ、あたしがデザインしてもいいかな?」
「もちろん。やりたい人がやるのが一番だと思うよ」

樫野君、花房君に問われ、安藤君がデザインをやりたいという天野さんに同意していた

数日後、天野さんが提案したケーキは、りんごと生クリームを使った、雪の上で遊ぶ園児の姿を描いたケーキだった
安藤君、樫野君、花房君の得意分野を活かせるデコレーションと、祥子の得意とするスポンジケーキを土台とした設計図まで考えてきていた

「あの、今夜練習で、このケーキ作ってみたいんだけど、いいかな?」
「もちろん!」

天野さんの問いに、返事をする声が四人でかぶる
その時、教室でそれを面白くないと感じている面々が居るとは知らず、五人は設計図を囲んで話し合っていた
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