短編

□失いたくない
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研究所の庭で、二人の怒声が聞こえた。

「ゴウカザルのバカ!何でわかってくれないの!?」
「グライオンこそ!俺はただ…っ」

グライオンとゴウカザルだった。二人は仲が良く、殆ど一緒にいるほどだった。そんな二人が本気で口論している。今周りには彼ら以外誰もいなかったが、もしいたら、全力で止めに来る勢いだった。

「いくらなんでもやりすぎだよ!もっと自分のこと…」
「っ、グライオンの分からず屋!!」

ドン!

ゴウカザルの怒りは遂に頂点に達してしまい、グライオンを突き飛ばしてしまった。グライオンは後ろに倒れるが、

ガン!

「!!」
「え?」

グライオンが倒れた丁度後頭部のところに岩があった。グライオンはそれに直撃してしまい、意識を失った。

「グライオン!?グライオン!!」

ゴウカザルは必死に呼びかけるが返事はない。それどころか、打った後頭部からは血が出始めた。

(どうしよう…!俺のせいで…グライオンが…俺のせいで!!…兎に角研究所に!)

ゴウカザルはグライオンを背負い、研究所へ走った。研究所に戻ると、ムクホークがいた。

「ゴウカザル!?どうしたのグライオン!?」
「ムクホーク!グライオンが!グライオンが!」
「落ち着いて。兎に角、早く手当てしなきゃ!」

ムクホークはゴウカザルを宥めながら部屋に連れていく。
ムクホークは手当てを始め、呼ばれた他のシンオウ組は震えているゴウカザルを慰めている。

「大丈夫だよ。グライオン直ぐよくなるよ!」
「あいつは簡単にはくたばらないだろ」
「…」
「ぎゅー…ゴウカザル、グライオン…」

フカマルは二人を心配しているようだった。フカマルは二人によく懐いており、よく一緒にいた。そんな二人がこの様子だと、暗くなるのも当然だった。

「フカマル…ごめん、ごめんね…」
「フカマル!グライオンは大丈夫だよ!ゴウカザルも、そんなに落ち込んでたらダメだよ!」
「お前が落ち込んでたら、あいつは悲しむと思うぞ」
「…うん」

(グライオン…目を覚ましてよ…お願いだから!)

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