狩人

□星と月とハンターたちの宴X
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第5話 キルアとリノ

4次試験終了まで残り4日。
プレートをバックに入れてキルアと待ち合わせたスタート地点に戻る途中、変な視線を感じた。
木々が生い茂り、人の手が加えられていないゼビル島では狩人にとって気配を殺すことなど簡単である。

(受験生ではない、協会側の人間でもない・・・・やつらか!)

そこまで考えて立ち止り、周囲に殺気を放てばその辺にいた動物たちの遠ざかる気配があった。
しかし、先ほどの奇妙な視線はすでに近くにはいなかった。
殺気を納めて近くにあった高い木の頂点に助走なしに飛びあがる。

(私を監視している・・・)

気配がないということは、視線の主はおそらくこの場にいない。
先ほどの奇妙な視線は人の目によるものではなく、機械の赤外線だろう。
となれば何かしらの機械で監視をしていることになる。
ならば、監視させておくか。
刺客と思われる奴ならさっき木に貼りつけにしてきたのだ、しばらくは動かないだろう。
ましてこれはハンター試験。
迂闊な行動をとれば簡単に失格となる。
そこで理性が働けば、もう何もしてくることはないだろう。
こちらに危害が及ばないと判断し、面倒なので放置する事にした。


スタート地点まで戻ってくると複数の気配を感じた。
今度は受験生の気配だったので、プレートを6点分集めた者たちだろうと当たりをつけた。
ここに長居をしていると他の受験生にも見つかる。
そう思ってキルアを探そうとしたら上からかすかな葉のかすれた音が聞こえた。
反射的に腕が勝手に杖を取り出して、音の聞こえたほうに防御の構えをとる。
すると相手の驚いたような息をのむ声が聞こえた気がした。
それだけで音の正体がわかった。

「キルア?」

名前を呼びながら音の方を向く。
先ほどの殺気を放ったせいで少し神経が過敏になっているようだ。
杖まで取り出して防御の構えをとってしまうほどに。
しかし、しくじった。
渋面になりそうな表情と舌打ちしてしまいそうな口を無理やり動かして笑顔を作る。
すると、がさっという音とともにキルアが木の上から下りてきた。
その表情は明らかに困惑しています、といった表情だった。
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