狩人

□星と月とハンターたちの宴U
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人の心理として、騙されるなって言われるほど疑心暗鬼になり、誰の言うことも信じられなくなり、結局最後に騙される。
すっかり騙されたレオリオと他の受験生を視界の隅で捉えながら、目の前で繰り広げられる茶番をぼんやりと見ていた。
茶番も長くは続かず44番のプレートを付けたピエロによって強制終了させられていた。
なんかこっち見てにやにやしてる気がする。
よし、あいつには絶対に近づかないようにしよう。

その後は、またマラソンが始まった。
地下道よりも体力を削られる湿原の沼地をなるべく汚れないように走りながら、周りの気配に気を配った。

ここは変な気配の生き物ばっかりだ。

さすが詐欺師の塒、訳が分からない。

そうやってしばらく走っていると霧が出始めた。
霧によって前方が見えづらくなってきたとき、霧にまぎれて殺気が漏れた。

一瞬で寒気と冷や汗が出てくるほどその殺気は嫌なものだった。
いや、殺気というよりかは狂気と例えたらいいのだろうか。
ぎゅっと拳を握りしめ震え始めた体を抑えた。
ひたすら自分に大丈夫と言い聞かせて、いつの間にか閉じていた目を開ける。
よし、大丈夫だ。

「っと」

さっきの狂気に当てられて周囲の気配を探るのを怠っていたらしい。
足元だと思っていた地面が蛙のような生き物の頭だった。

「リノ!大丈夫?」

すぐにその場から離れれば近くを走っていたゴンが心配そうな声で話しかけてきた。

「うん。大丈夫だよ。ちょっと考え事してたら道から外れちゃった」

とりあえず苦笑しながらゴンに話しかけた瞬間、後ろの方から悲鳴が上がった。
そういえばと周囲の気配を探れば、後ろに100人以上いた受験生の気配がいつの間にか消えており、あちこちから阿鼻叫喚が聞こえてきた。
やっぱり騙されたようだ。

「どうしたのかな?」

「騙されたんだろ」

ゴンは後ろの方にいたレオリオとクラピカが心配なようで時折後ろを確認していた。
それを見るキルアの顔は呆れ半分、苛立ち半分といった表情だった。
そうやってしばらく3人で走っていたが、ふいにゴンが何かを聞いたのか二人の名前を叫びながら逆走しようとしたので、

「ゴン!助けに行くならこれ持っていきなー」

「わっ!ありがとー!」

全力で持っていた小袋を投げつけた。
後ろを振り向きざまにゴンに向かって投げたため、少々明後日の方へ行ってしまった。
が、ゴンは見事な跳躍を見せてきちんと受け取って走っていった。
ナイスキャッチと内心で感心しながら、すばやくゴンに投げた内の一つをポケットから取り出し地面に落とし思い切り踏んづけた。

するとすぐに独特なにおいが鼻にきたので粉々になったと確認し、遅れてしまった分少しスピードを上げて前方の集団を追った。
そんなに離れていなかったのですぐに追いついた。
私が追いついたことに気付いたキルアが器用にスケボーを蹴って近づいてきた。
しかし、すぐに私からとてつもないにおいが発生していると気づいたキルアは思いっきり顔をしかめた。
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