狩人
□星と月とハンターたちの宴Y
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4次試験終了まで残り1日。
すでに定位置となった木の枝の上で朝起きると、同時に手首のリストモニターが勝手に起動した。
空中に外部モニターが表示され、幼さを残した、それでいて変わらないまぶしい笑顔をした少年が画面に姿を表わした。
≪あれ、リノもしかして今起きたの?≫
こちらの様子に気づいてきょとんとして表情で不思議そうに話す少年に、はぁとわざとらしいため息をついて一言。
「モニター起動するときは、相手の了解取ってからだっていつも言ってるのに」
ジト目で画面越しに少年を見ながら、不満げに言えば苦笑しながらごめんと謝ってくる。
本当に悪いと思っているのか疑わしいところだが、続いて聞こえた言葉に何も言えなくなってしまった。
≪ごめんごめん。ナイトメアが現れたからリノの方に何かあったんじゃないかって思って≫
「・・・・」
≪その顔じゃあんまり寝れなったみたいだし≫
心配そうな目を向けてくる少年に何も言えずにいると、ブツンという音と共に画面が消えた。
はっとしてリストモニターに目を向ければすでに起動しておらず、しんと静まっていた。
モニターを動かさなければと頭でわかっているはずなのに、体は金縛りにあったように動けなくなっていた。
手が震える。
「・・・何か、あったの?」
独り言のように無意識に呟いた自分の声で二日前にみた悪夢が目の前で再生された。
何もない空間に真っ暗な闇が広がっている。
自分がどこにいるかもわからない。
誰かを探したくても声が出ない。
いや、もしかしたらここには誰もいないのかもしれない。
ドクン ドクン
心臓が嫌な音を立て、不規則な呼吸へとなっていく。
これが現実でないことなど分かっているはずなのに、暗闇に全て覆い隠されてしまい思考が追いつかなくなっていく。
あの時のように。
まぶしい光によって暗闇が晴れた瞬間、目の前はあの時の光景と移り変わった。