暗殺日記
□0日目
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私の通う学校は、他と違うところがある。
まずは私のクラス、E組が差別的な仕打ちを受けていること。
そしてそのE組は、本校舎とは別の所にある旧校舎。
それの他に、一番の違いといえば、4月から始まった任務だろうか。
「そっち行ったぞ、やれー!!」
「無理だって!早すぎる!!」
「ヌルフフフ、甘いですねぇ。そんなんじゃ、いつまで経っても先生は殺せませんよ?」
「···朝から賑やかだねー。」
「あはは···おはよ、鈴音。」
朝、山を登って登校してみれば、早速校庭で暗殺をしていた。
教室の窓から校庭を見てみると、磯貝君を中心に、何人かの生徒かナイフで切りかかったり、銃を発砲したりしている。
しかし先生は、一つ一つ確実にかわしていて、一撃も受けていない。
席に着く途中で渚君と一緒に、その光景を眺めていた。
いつの間にか日常と化した、非日常の光景。
私達は卒業までに、あの殺せんせーを殺さなければならない。
「くっそ〜···一つも当たらなかったな···。」
「でも、何度か惜しい所まで行ったし、次頑張ろうぜ。」
「みんな、お疲れ様ー。」
もうすぐHRともあって、さっきまで校庭で暗殺をしていた皆が教室に戻ってきた。
結局誰一人当てる事が出来なかったらしい。
当然といえば当然だけど、やっぱり気にするのか肩を落とす人もいる。
出入り口の近くに居た人は、戻ってきた人達に軽く言葉をかけている。
「おかえり、前原君。どうだった?」
「正面から行って殺せるとは思ってなかったけど、予想以上にダメだった···。」
「鈴音も参加すれば良かったのにね。一人増えるだけでも、結構変わるよ?」
「今日はちょっと遅れてきたし、朝から皆みたいには動けないかなー···。」
苦笑いしながら、声を掛けてくれた片岡さんに言う。
訓練の時ならともかく、休み時間などに皆で襲いかかるような動きは、どうも好みではない。
誘いは有難いが、ひとまず断らせてもらった。
さっきまでクラスの雰囲気は、暗殺で殺伐気味だったけれど、今は課題をしたかや今日の授業のことなど、普通のクラスのような話をしている。
私もこのクラスでなければ、異常だと思っていただろう。
でもそれが普通になるのが、このクラスの面白いところだ。
チャイムが鳴ると共に、この異常の根源が教室に入ってきた。
「皆さん、おはようございます。今日の朝はお疲れ様でした。先生を殺すには、まだまだでしたがねぇ。」
独特の笑い声で笑いながら、顔の色が緑の縞模様になっている。
前の方の、今日の暗殺に参加してた人達の微かな怒りが、何となく伝わる。
出席を取った後、連絡事項を述べて殺せんせーは一旦教室を出ると、隣の席のカルマ君が話しかけてきた。
「今日の朝は、みんな暗殺してたんだ。」
「カルマ君は朝遅かったから、知らないんだっけ。磯貝君たちがやってたよ。」
「正面から殺しにいったって、殺せないのは分かってるのに、ご苦労だね。」
それは本人たちも分かってるから、触れないであげればいいのに。
でも、あの朝の時間から殺そうと言う意気込みは、やはり私とは違う。
もちろん私も先生を殺そうとはするが、どうも危機感が持てないのか、自主的にやろうとすることは少ないと思う。
やっぱり、みんなと一緒に暗殺に参加するべきだろうか。
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補足
主人公の席は、一番後ろの窓側から3番目。
基本、男子は「〜君」女子は「〜さん」で苗字呼び。
一部例外アリ。
時間軸ははっきり決めていませんが、イトナは居るので、おそらく秋くらい。
日数の考慮はしてますが、曜日は全く考えてません。
でも休みの日もあります。
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