暗殺日記

□7日目
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暇になったので大人しく席に着いて、本でも読もうかと教室内を移動中、ふと三村君に目がいった。
はたから見たら、ただスマホをいじっているだけだが、少し見えた画面か察するに、そうではないらしい。
失礼かもしれないが、気になったので聞きに行ってみた。


「三村君。それ、何してるの?」

「これか?岡島や渚から送ってもらった、殺せんせーの映像の編集だよ。いつか使えるだろうからって。」

「あ、沖縄での暗殺の時みたいなヤツ?」

「そうそう。細かいところはパソコンじゃないと出来ないけど、大まかなものはスマホでも作れるんだ。」

「そうなんだ、さすがー。」


私は全く使わないので分からないが、写真や映像を編集するのに使えるアプリも多々あるのは知ってる。
沖縄で見せてもらった映像は、とても良くできていたと思う。
あの時は、私たちが食事している間に編集した物だから、そんなに時間はなかったはず。
今回はいつまでという指定がないので、前回よりも凄いものが作られそうだ。


「今回の作品も楽しみだね。いつ見れるかなー···。」

「なんなら、見てみるか?大体は完成してるし。」

「いいの?見る見るー。」

「見た後で、評価してくれよな。」


三村君からスマホとイヤホンを借りて、動画を再生した。
ナレーションは付いてなかったけど、字幕や音楽はついていて、十分な仕上がりだった。
内容はと言うと、前回に引き続き如何わしい本を漁る先生や、街の綺麗なお姉さんを物色する先生など、言うのも恥ずかしい。
岡島君達はいつ、こんな先生を撮影しているのだろう。
そんな恥ずかしい姿が映された動画を、飛ばし飛ばしで5分ほどで見終え、スマホを三村君に返す。


「どうだった?」

「どうと言われましても···見てるこっちまで恥ずかしいよ···。殺せんせーも、精神的にキツいかと。」

「まぁ、それが狙いだからな。岡島も良い動画撮るし、編集のしがいがあるぜ。」

「良すぎて、打合せしたかのような動画だよ。」

「これから第二部の作成だ。」

「まだあるの?!」


前回の映像も1時間だったし、それくらいの長さがあってもおかしくないか。
しかし先生も、どんだけ恥ずかしい動画を撮られているのだろう。
律の協力があるとしても、もう少し 避けられないものか。
然るべき場面でマッハ20を活かせばいいのに、相変わらず変なところで、油断する先生だ。


「今回の精神攻撃も、なかなか効きそうだね。すごいなぁ。」

「すごいのは、これを撮ったみんなだよ。俺はそれを繋いでるだけだし。」

「···詳しいことは分からないけど、編集側のセンスも大切なんじゃない?つまらなかったら、効果ないだろうし。」

「そうか?なんか照れるな···。」


編集がうまいから、あの時の精神攻撃もうまくいったと思うのは本心。
ただ映像内容が、暗殺に必要としても、残念すぎる。
ぜひ別の映像作品が見てみたい。


「よかったら、第二部も完成したら見せてほしいな。ちょっと気になるし。」

「おう、もちろん。つっても、殺せんせーの醜態しか映ってないけど···。」

「全然良いよ。先生の弱み、知りたいし。」

「弱みだらけで、また瀕死になるだろうな···今度こそ、殺せるならいいんだが。」

「じゃあ、そのためにも作戦を練らないとだね。」


弱点は少しなら知ってるけど、細かいことは知らないし、後で渚君に聞いてみようか。
ついでに、この動画を撮影した岡島君にも、どうやって撮ったのかを聞きたい。
でも三村君の動画はそれがまとめられているので、弱点とはいかないが、弱み簡単に掴めた気がする。






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