暗殺日記

□10日目
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「奥田さーん。ちょっといい?」

「はい、何ですか?」

「毒殺についての相談なんだけど···。」

「何かいい案があるんですか?聞きたいです。」


ぼんやりと授業を聞き流しながら、前の席の奥田さんを見ていると、以前殺せんせーを毒殺しようとしたのを思い出した。
そこでふと思ったのが毒殺。
授業が終わったと共に、奥田さんの背中をつついて呼ぶ。

奥田さんのチャレンジで、毒が効かないのは分かっているが、試してみる価値はある。
けれど、あの法則性のない表情の変化は面白いから、同じ結果でも構わないと思ってる。
物は試しということで、その思い付きの毒殺について、奥田さんと話してみる。


「毒草の煎汁とか粉末とか、入れたやつ作れない?」

「作ったことはありませんが、多分可能だと···。」

「じゃあやってみようよ。殺せなくても、動き鈍らせることはできるかも。」

「でも毒草なんて、どこで手に入れるんですか?」

「え、ここで手に入るよ?」


言わずもがな、奥田さんは驚いたようだ。
この山は有難いくらいに自然に囲まれているので、多種多様の植物が手に入る。
その辺に生えている植物でも、強さは異なるが毒を持っている物が多い。
分かり易いものは、スズランやパンジー、アジサイ等だろうか。

放課後、奥田さんを連れて近くに生える毒草集めに出てみる。
私も毒草にはそんなに詳しくないので、カメラを通して律に教えてもらった。
その中で、先生に効果があるかわからないが、毒性の強い物を選んで早速実施。
粉末にするためには、まず乾燥させないとできないので、今は実験道具を借りて、ひとまず煎汁を使ったものにすることにした。


「こんなところでも、毒草って手に入るんですね···。」

「まぁね。野草を食べる人なんてそうはいないから、知らないのも多いんだろうけど。」

「でも、もしもの時を考えると、ちょっと怖いですね。気を付けないと。」

「毒草の取り扱いの注意は1点のみ。カルマ君に見付からない事。じゃないと、犠牲者が出る。」

「あー···。」


納得したように、苦笑いを浮かべていた。
奥田さんの情報によると、すでにとある薬品を作って渡してあるとのこと。
それが使われたかは分からないが、これ以上危険なものは渡せない。
今日はカルマ君がすでに帰ったのを確認してから、作業を始めた。


「こんなものかな。奥田さんは、これに何を入れる?」

「じゃあ私は、シアン化カリウムを入れます!」

「待って。その猛毒は、どこで手に入れたの?」

「早速、鈴音さんの作ったものと合わせてみましょう。」

「あ、スルーされた。」


入手方法はさておき、シアン化カリウムを毒草を煎じたもので溶かし、毒を作る。
効果を調べることはできないので、一発本番。
隠す必要もないので、早速奥田さんが一番初めにやった時のように、堂々と毒を差し出して飲んでもらった。
今回は顔の色彩が変わるだけで、やっぱり殺せなかった。


「なんか、すごい変わり方だったね···。」

「イカやカメレオンのような、体色変化をしてました···。」

「てかあの先生、元々色変えれるじゃん。次は、別の成分の毒草使ってみよう。」

「その時は、御一緒します。」


今のところは効く毒は分かっていないが、試せばどれか効くかもしれない。
それを見つけるためにも、たまに奥田さんと協力して、毒を作るのもいいだろう。





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