暗殺日記

□11日目
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今日は週に二日の楽しみである休日で、私は街に買い物に出ている。
特に買う物はないので、ウィンドウショッピングを楽しんでいる。
目に付いて、気になったら見て購入をしていき、いつの間にか私の手にはいくつかの袋が握られてる。
予想外の出費に、我ながら驚いている。
どこかでお茶でも飲んで一休みしようと思い、自販機を探していると、見慣れた人影を見つけた。


「···鈴音か。」

「こんにちは、イトナ君。買い物?」

「あぁ。今度改造する、ラジコンの部品を集めてた。とりあえずは、大方揃えた。」

「あ、じゃあせっかくだし、時間があるならお茶でもしない?」

「···別に構わない。」


休みの日にも、暗殺に役立てるためのものを購入とは関心。
私物を買っていた自分に、少し後ろめたさを感じた。

公園のような休憩所の近くにある自販機で飲み物を買い、その休憩所でお茶にすることになった。
今日は天気も良く、屋外でもとても心地良い。


「こんなふうに、外で会うのも珍しいよね。私服だし、何か新鮮な感じ。」

「用がなければ、ほとんど外に出なかったからな。」

「で、今日は部品集めのために、買い出しに来ている、と。」


休日に遊びに出る、ということはあまりしないようだ。
失礼だがそれよりも、イトナ君の家での生活等が想像しにくい。
当初のイトナ君の印象も、未だに多少残っているからだろうか。

比べるのも良くないが、あの頃と比べればイトナ君もすごく変わった。
かつては一人の殺し屋として、けれど今はE組の一員となり、それはイトナ君だけでなく、ビッチ先生や律もそうだ。
相変わらず異様だが、私達にはそれが心地良くなっているのが不思議だ。


「イトナ君も、すっかりクラスに馴染んだよね。どう?E組は。」

「···退屈はしないな、一部うるさいが。」

「素直な意見···でも、楽しんでるみたいだし、よかった。」

「俺はあのタコを殺すためにいるんだ。そのために、あそこに入った。」

「そこは素直じゃないんだねー···。」


隣の席だからたまに見るが、いつの間にか男子の輪の中に入れられて、遊んでいる光景を見かける。
本人はこう言ってるが、きっと本当は楽しんでいるはずだ。
初めて教室に来たとき、壁を壊したあの登場の仕方と、隣の席ということに驚いたが、今となれば普通に隣でよかったと思う。


「そういえば、次はどんなの作るの?また偵察用のラジコン?」

「今回は攻撃も可能な戦車を使う。これは改良が必要だからな。」

「おぉ、熱心。面白そうだけど、私にはあぁいう改造って、どうすれば良いのかさっぱり。」

「枢要を覚えれば、後は応用させればいい。言うほど難しくない。」

「それをさらっと言うイトナ君がすごい···。」


やはり私は自分でやるよりも、それを見ている方が性に合うようだ。
今度、その新しいラジコンの改造するときは、まだ見学させてもらおう。


「これから残りの部品集めに行くが···鈴音も来るか?」

「いいの?でも私、そういう知識ないし···」

「第三者の客観的意見も欲しい。無理にとは言わないが、どうせ暇だろ?」

「暇だけど···じゃあ行きます。」


用もないし、せっかくの誘いなので受けることにした。
誰かを連れて、ましてや私と一緒に買い物に出るとは思ってなかったので、驚きの反面、少し嬉しかったりする。
完成するラジコンが、悪用されないことをかすかに願いながら、イトナ君と一緒に、夕方の買い物をした。





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