暗殺日記

□14日目
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朝のホームルームで準備をし、1時限目をまるまる使って、烏間先生をターゲットとした模擬暗殺を実施。
ペイント弾や対先生ナイフを使って、烏間先生に攻撃さえ出来れば良い。
各箇所に散らばり、烏間先生を追う人や1ヶ所で待ち続ける人、正面から襲い掛かる人など、それぞれ担当を受け持ちチャンスを狙う。
私はライフルと双眼鏡を持ち木に上がり、状況をスマホを使って皆にに伝達しながら、その時を待つ。


「こちら鈴音。ターゲットはG地点からB地点に向かって移動中。動き次第で射撃を予定。」

『こちら岡島。今から俺と三村で、K地点からB地点に向かうぜ。』

『F地点より菅谷。後ろから片岡と中村が追ってるのが見える。二人の動きにも注意しろ。』

「了解。動きがあったら、また連絡を入れるよ。」


二人からの報告も頭に入れ、銃を構え烏間先生を待つ。
まもなくして、烏間先生がこちらに走ってきた。
私の存在が気付かれる前に、尚且つ当てられるタイミングで撃たなければならない。
迷う暇もなく、今だと思うタイミングで撃つと、それに合わせるように傍で姿を隠していた人達が射撃をする。
けれど全て避けられ、そのまま私達を抜いていった。


「作戦は良いが、全員のタイミングが合っていない!俺でも容易に避けれるぞ!」

「くそっ···!それぞれ位置を連絡しつつ、全員一旦散れ!」


前原君のその一言で、皆が一斉に移動を始める。
私は木の上なので、すぐには移動せず、烏間先生の向かう方へ視線を移し、その方向を伝達しようとした。
しかし、振り向いた瞬間にバランスを崩し、そのまま一気に地面に落ちた。


「いってて···びっくりしたー···。」

「そりゃ、こっちの台詞だ!なんでお前はそう木から落ちるんだよ!」

「別に私の意志じゃ···て、え?!ごめん!!」


私の上っていた木の下に寺坂君がいた事を、すっかり忘れてた。
移動しようと動いた瞬間、私が落ちてしまったらしく、なんともタイミングよく私は寺坂君の上に落下。
慌てながらも、すぐに寺坂君の上から降りる。


「ホントにごめんね!怪我とかは・・・?!」

「大したことねーよ、こんくらい。それより、平衡感覚鍛えやがれ。」

「前回は怪我、今回は注意不足だからそこは問題ないよ。」

「なら今回のは、もっともダメな理由じゃねぇか!」


周りが見えないくらい、集中していたからだろう。
一緒に落としてしまった荷物を拾いながら、自分の登っていた木を見上げる。
行動を監視するために、なるべく高めの木を選んだ。
あそこから落ちて怪我がないのは寺坂君おかげだが、寺坂君が怪我していないのも不思議だ。


「大の大人が落ちてくれば、俺だって怪我するだろうが、相手がお前だからな。」

「何それ、チビだって言いたいの?」

「実際にそうだろうが。俺より何cm低いんだ。」

「それは寺坂君が大きいからだよ!私は普通だ!」


男子と比べれはもちろん低いが、女子の中では低くはない。
というよりも、こんな言い争いをしている場合ではなかった。

スマホを使って、烏間先生の位置情報、みんなの移動した先等の話を聞く。
授業が終わるまで、約15分。
未だ烏間先生に決定的な攻撃は出来ていないらしい。


「今はK地点にいるらしいけど、B地点まで誘導するみたい。」

「じゃあ俺らは、このまま待機しておくか。どうせラストスパートかけるだろうし、無駄に動いて体力浪費するより良いだろ。」

「へぇ、いろいろ考えてるね。B地点、鈴音。寺坂君と待機中。磯貝君、今後の動きは?」

『全員ターゲットに気付かれないように、B地点に向かってくれ。最後の10分で勝負だ!』


数人の返事が聞こえると、人の気配が近付いてくるのが分かった。
早いところ身を隠して、その勝負の時を待とうと木に登ろうとしたが、寺坂君に止められた。


「お前は下で待ってろ。上からの伝達や射撃は俺がやってやる。」

「別にいいよ。今回は怪我してないし。」

「また落っこちたら面倒だろうが。いいから、その辺で構えてろ。」


そう言って寺坂君は直ぐに木の上に登っていく。
もともと私の持ち場だったが、入れ替えたところで特に問題はない。
私の心配をしてか、ひとまずその優しさに甘えるとして、近くの茂みに身を隠した。
その後は、みんなの一斉射撃で烏間先生を捕える事ができた。





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