暗殺日記

□21日目
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今日の朝はいつもより遅めの登校。
しかし遅刻する時間でもないため、比較的ゆっくりと登校していた。
少し時間をずらすだけで、道の混み具合は結構変わるもので、普段よりも人が少なく感じた。
だからだろうか、後ろから聞こえる走る足音が耳によく入り、反射的に振り返った。
視界に入ったのは、見慣れたクラスメイトだった。


「木村君?て、速っ!」

「よぉ、鈴音。おはよう。時間は少し遅いと思うけど···。」

「いやそうだけど、そっちじゃなくて。」


時間ではなく、走っていたスピードの事だ。
目の前で見ると、また改めて速く感じる。
木村君は私に気付くと、わざわざ足を止めてくれた。
しかし何か急いでいたようにも見えたが、いいのだろうか。


「明日、磯貝達と殺せんせーの暗殺をする予定で、今朝から打ち合わせしようと思ってたんだけど···。」

「確かに、この時間じゃ少し遅いかもね。それは急ぐなー。」

「そういう事。じゃあ俺は先に行くぜ。」

「あ、待った!!」

「うぉっ?!」


また走り出そうとした木村君を止めようと、咄嗟にカバンを掴んでしまった。
もちろん予測出来なかったようで、引っ張られた事により木村君はふらついた。
が、何とかこらえて、転びはしなかった。


「ごめん、つい···それ、私も参加していいかな?」

「別に俺はいいけど、他のヤツら次第···て、アイツ等も断るわけないか。鈴音が参加なんて、珍しいな。」

「でしょ。私もたまにはやってみたいなって。」

「じゃあそうと決まれば、急いで学校行くぞ。多分待たせてるからな。」

「わっ、置いてかないでー!」


言うとすぐに走り出した木村君を追って、私も走り出す。
多分私に合わせてくれいるらしく、なんとか私も追いつける速さだ。
しかし訓練である程度は鍛えられたものの、私はそんなに足が速いわけではない。
木村君の足の速さが羨ましくなる。
体力も付いているとはいえ、疲労を感じ始めた時、信号待ちで私たちは一旦止まった。


「やっぱ木村君速いねー···追い付くのがやっとだよ。」

「でも、ついて来れてんだな。バテてるみたいだけど。」

「ここから学校までなら、ギリギリ持つと思う···あ、山道はちょっと辛いかも。」

「さすがに山道では走らないって。少し小走りくらいはするだろうけど。」

「多分、小走りでも私たちのペースは違うと思うよ。きっと私は小では済まない。」


やはり私に気を使ってくれているようだ。
本気で走られると私がついていけないので有難いが、わざわざ合わせてもらうのも、申し訳なく感じてしまう。

授業以外、ましては街中で本気で走ることなんて、きっと今日くらいだろう。
人通りの減ったこの時間で、少し助かった。


「信号が変わったらまた走るけど、大丈夫か?」

「頑張ってみる。私が参加するって言ったのが初めだしね。」

「疲れたら無理すんなよ?よし、行くぞ。」



信号が青に変わり、私達は再びダッシュ。
おかげで学校には早く着いたが、体力を使った。
おそく今までで、朝からこんなに疲労した事はないだろう。

学校に着いて、明日暗殺をするメンバーに私の参加を伝えれば、こころよく受け入れてくれた。
そしついでに、木村君と一緒に走ってきた事を妙に感心された。





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