暗殺日記

□22日目
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今日の昼休みは、皆で殺せんせーの暗殺をする。
そして今回は私も参加。
普段みんなで暗殺をする際に参加をしないので驚かれたが、嬉しいことに参加を許可してくれた。
断るような人達ではないと思っていたが、嬉しいものは嬉しい。

今回の作戦は、先生の油断している時に殺さない攻撃で怯ませ、そして暗殺に取り掛かる。
その殺さない攻撃は死角から片岡さん達がしてくれるが、まず油断させるのが私と磯貝君の役割。


「で、肝心の殺せんせーはどこにいるの?また海外にご飯食べに行ってるんじゃ···。」

「情報によると、今日は山で昼飯を食べてるらしいよ。」

「···え、なんで山で?食材集め?」

「プールの堰で水量を調節して、沢で流しそうめんをしてるとか、なんとか···。」

「流しそうめん?!」


スケールが大きいけど、なぜ流しそうめんなのか。
話によると、売れ残りで安売りしていたそうめんを大量買いしたらしい。
なぜ普通に消費をしないのだろう。

あまり深くは気にせず、沢に向かい殺せんせーを探す。
見つけ次第他の人に連絡をし、準備ができるまで先生の気を引かなければならない。
しかし先生は食べ物とエロには油断をするから難しくないはず、と事前に言われた。
間違ってはいないのだが、その説明だと何だかやるせない。

磯貝君と沢に来てみれば、本当に殺せんせーが流しそうめんをしていた。
分身をして一人がそうめんを流し、その先で五人に分かれて一本も取り残しなく食べているようだ。

片岡さんにメールを送り、磯貝君と茂みから出て殺せんせーの元へ。
殺せんせーは私達に気付くと手を止めて、一人に戻った。


「にゅや!二人共、なぜここに···!」

「この前の体育で、鈴音がハンカチを落としたらしくて、ダメもとで探してるんです。」

「それより、殺せんせーは何でこんなところに···。」

「1回、流しそうめんをやってみたくて、思い切ってやってみました。良かったら、二人もどうです?」

「いや、いりません。」


思い切りすぎではないだろうか。
それに沢でやる流しそうめんにはあまり参加したくはない。
しかし時間は稼がないといけないので、そうめんを流す側に付き、気を引きつける。

しばらくすると、ポケットの中に入れていた携帯がバイブした。
これは用意ができたサインであり、磯貝君もそれに気付いて視線を送っていた。
後は皆が攻撃をしてくるのを待つだけ。


「鈴音ー!ハンカチあったよー···て、何やってるの。」

「あ、忘れてた!ありがとう。」

「良かったですね、見つかっ、ひゃん?!み、水?!」

「今だっ!」


片岡さんの登場がスタートの合図。
他の生徒が来る事で、複数の人数で探していると思わせて警戒をさせないようにする。
後は隠れていた皆が、ポンプや水鉄砲やらで、水を使った攻撃をして怯ませて、その隙に先生の傍にいた私達三人でナイフで切りかかる。

が、ナイフは掠りはしたが、決定的な攻撃にはならずそのまま逃げられてしまった。
茂みからみんなが出てきて、今回の暗殺について各々漏らしている。


「鈴音、お疲れ様。殺せなくて残念だったけど···。」

「うーん···でも、いい線いってたよね。微かに当たってたし。」

「そりゃ一筋縄じゃ行かないよな···」

「次こそ殺ってやろうぜ。鈴音も、また参加するだろ?」

「みんなが良ければ、是非とも。」


今回は残念な結果に終わり、失敗したとは思うが悔しさはあまりなかった。
しかし暗殺なので、楽しさや嬉しさとはまた違う、不思議な感覚だった。





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