暗殺日記

□23日目
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「それでまた、暗殺計画立ててるんだー。」

「うん。今度は、一気に攻められる暗殺にするんだって。多分、派手なのをやるよ。」

「あはは、それはちょっと見てみたいかも。」


昨日、暗殺をしに行ったみんなで、次の暗殺の計画を立てた。
一通りの計画を立て終え解散した後、茅野ちゃんに尋ねられて、雑談と作戦について話している。


「それにしても、鈴音が暗殺の参加かぁ···変わったよね。」

「おかげで、みんなに珍しがられてるよ···確かに、今更やる気出しても遅いけど···。」

「最近、すごい頑張ってるもんね。それには変わりないよ。」

「そうかなー···。」


改めて面と向かってそう言われると、何だか照れる。
今までに何人かに言われてきたが、褒められるのは未だに慣れない。
というか、慣れるものなのだろうか。
そこはともかく、むず痒さは否めない。


「鈴音って一歩引いてるというか、なんか塞ぎ込んでたもんね。」

「否定はしないよ···今更、クラスメイトのいろんな一面知ったりするもん。」

「それはほら、今知ろうとしてるんだし。逆に鈴音の事も知れるしね。」


そういえば、前に中村さんに言われたのを思い出した。
ふとした時に、考えてるように見えると。
おそらくそれは、今言われたように塞ぎ込んでいたからかもしれない。
そして、深く考えなくていい、と言われた事。
今は昔よりも、辛辣な考えをすることも少なくなったと思う。
それが無くなり、余裕もできたから友人のいろいろな面を知れたのかもしれない。


「そう聞くと、鈴音も色々あったんだね···。」

「あー···私がE組に落ちたのって成績不振だけど、大元は対人関係だから···。」

「対人関係がうまくいかなくて、勉強に集中出来なくなった、とか?」

「んー、そんな感じ。」


小学生の頃、ひょんな事で私はのけ者にされていた。
人間は1つ気に入らない所を見つければ、他も否定をする性質が少なからずある。
中学受験をして椚ヶ丘中学校に入学したはいいものの、小学校の思い出もありいい交友関係は持てなかった。
他の事にも集中出来ず成績不振、結果E組行き。

E組に来てからも、クラスがクラスだったので馴染む事が出来ずにいた。
しかし殺せんせーが来た事で、雰囲気が変わっていくのを感じた。
けれど私はそれでも馴染めず、ただ眺めていた。
他人事のように、自分には無関係のように眺めていた一学期だった。
二学期の今になり、ようやくやる気になった。


「遅いのも、迷惑だとも分かってるんだけど折角だから、やれる事をやりたいんだよね···。」

「そっかー···でもみんな喜んでるよ?鈴音が暗殺に参加してくれるようになった、て。」

「そういえば、またにそれを言われるけど、何なのかな。」

「もう、疎いなー。みんな心配だったんだよ、鈴音は自己主張しないから。」


片岡さんや磯貝君話しかけてもらう度、同情かと思っていた。
話に入れない私に、無理に気を使っていたのかと思っていた。
そうではないとは言いきれないだろうが、ただ単にE組の仲間として一丸になろうとしていた。
私がそう思っていなくても、みんなは友達だと思っていてくれていた。


「あー、何かもう···自分が情けない···!この焦燥感どうすればいいの!」

「まぁまぁ、落ち着いて···気付けたのなら、良かったと思うよ?ホントに疎いんだから!」

「いい、のかな···。」

「もちろん!だってここはE組だもん。」


異端でも、異質でも、このE組では普通。
それが当たり前で、いつの間にか居心地が良くなっている。
きっとそれは、この暗殺があるおかげなのだろう。





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