暗殺日記

□?日目
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「そして夜景が見えるホテルで、彼は私の腰を抱き寄せてこう言ったの。」

「ちょっ!ビッチ先生くすぐったい!」

「You are the best thing that ever happened to me.鈴音、訳してみなさい。」

「happened to···『あなたと会えた事が、私のこれまでに起きた最高の出来事』?」

「間違ってはないけど、もう少し崩して訳した方が伝わりやすいわ。この場合、『今まで起こった事の中で、最高の出来事は君に出会った事だよ』とかで良いの。」

「きゃー、ロマンチックー。」


昼休みに女子に連れられ、ビッチ先生の過去の恋愛談を聞いている。
時折私たちで再現するわ、英語の授業を踏まえるわで面白いけど、さすがに腰を触られるのはくすぐったい。

矢田さんや倉橋さんの食いつきはいいし、片岡さんは英語の授業を受けているように真剣だし、楽しみ方は人それぞれだ。
私は普通に聞いて、経験が豊富だな、と思う程度だったのに、今回は私で再現をしてるしそうともいかない。
こうして改めて近くで見ると、女の私でも惚れそうなくらい綺麗だし、香水のいい香りがする。


「それにしても、鈴音は一学期と比べて、リスニングが出来るようになったわね。ご褒美をあげるわ。」

「いや!それは良いんで、話の続きをお願いします!」

「あら、遠慮しなくてもいいのよ?」


遠慮とかじゃなく、本心で褒美のディープキスは勘弁して欲しい。
慣れてきてはいるが、席が一番後の私は被害に合う回数が少なく、今でも抵抗がある。
抱き寄せられていたため、すぐ横に顔があったので、ビッチ先生はそのままキスをしてこようとしてきたが、手でガードをして止める。
そしてビッチ先生の腕から抜け出し、失礼ながら、盾にするように速水さんの後ろに座った。

その後はIT社長との駆け引きや、かつてのゴルフの賞金王を落とした話など、想像出来ない世界の話を聞いた。
みんなはまだ話を聞きたそうにしていたが、予鈴が鳴ってしまったため中断。
渋りながらも、解散していく。
の、はずなのに、何故か私はビッチ先生に捕まった。


「ちょっと、鈴音。何なの、さっきのは。」

「翻訳ですか?私が英語苦手なの、知ってるじゃないですかー···。」

「そうじゃなくて、何でキスから逃げるのよ!アンタはもっと上達できるわよ?!上を目指しなさい、上を!」

「そっち?!あと嬉しくないし、断ります!」


予想外の事で呼び止められたものだ。
目指す気なんて全くないし、それをする相手がいる訳でもない。
覚えても仕方が無いと、ひたすら断る。


「あら、相手ならいるじゃない。すぐ近くに15人程。」

「クラスの男子?!そんな事したら、気まず過ぎて学校生活送れなくなるから!」

「何よ。いいものを持ってるのに、持ち腐れじゃない。せっかくここも成長しているのに。」

「ぎゃー!?」


そういいながら、先生は私の胸に手を伸ばして掴んできた。
なぜ成長していることを知っている。
叫び声が可愛くないとか、そんな事は気にしている暇がなく、とりあえず叫んでしまった。
教室には男子もいるし、勘弁して欲しい。
このビッチは、恥じらいというものを知らないのか。


「鈴音なら、桃花に続いていい教え子になるわね···私が直々に、一から教え直してあげるわ。」

「勘弁してください!」


クラスメイトとは面白がったり、止めが弱かったり、止めると自分も巻き込まれるなどと言った理由から、なかなか止めてくれなかった。
騒ぎを聞きつけた烏間先生が来るまで、私はセクハラに合い続けた。





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