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□女だって筋は通すさ!
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怪物たちに導かれ、たどり着いた事件の元凶。その元凶を断ち切るため私達は乗り込むのだ。










「…―突撃するのはいいが、どっから突撃する気だ?」










『んー…やっぱり玄関からですかね 』











「名前、真面目アルな!こんな工場ぶち壊すヨロシ!」










「んなことしたら俺らにも被害が及びまさァ。これだから餓鬼の考えは…」










「んだと栗頭ァアア!!╬╬」










「やんのかミカン頭ァアア!!╬╬」











『ちょっとちょっと、二人とも;;;;』










「…――まぁ、玄関が無難だろう。よし、玄関から突撃するぞ」









全「おー!」












…………











「ん?…――え!?し、真選組!?」










「御用改めである。この工場から流れ出た汚染物を止めてもらいたいと苦情が来てな。

少し工場を見せてもらいたい」








――ゾロゾロゾロ…










「あ、えっ、ちょ、ちょっと!!;;;」










……………










「……――こりゃすげぇな。垂れ流しどころの話じゃねぇぞ、もはやモロ流しだろこれ……」










『…――これ、流石に酷くないですか…?』










半ば無理やり工場に入ると、目の前には何の迷いもなく海へと続く大きな水道管にドブドブと汚染物と思われるものを流している所が。










その流している量が尋常ではなかった。










「…――真選組だ。お主たち、その垂れ流しになっている液体は何で御座ろうか」









「…しっ、真選組!?;;
何でこんな所に真選組が…!?;;;;」









数人の男たちはあたふたあたふたと急に慌て出す。










「質問に答えて頂きたい。この液体は一体何だ」










「そっ、それは…――く、車の塗装に使ったやつですぜ!置く場所がなかったから流してただけです!…他の工場だってそうでしょう?


俺達だけじゃないですよ、こんなの」










…―――車、ねぇ…。










この部屋は塗装の臭いなのか、ツンっとする臭いが鼻を突いて仕方ない。











「…――ねぇ、おにーさんたち。その"車"はどこにあるのー?」









まるで少年のような声の銀さんはキョロキョロと周りを見渡していた。










「…―あ、あぁ…車なら向こうに置いてあるが」










「えー?ここって塗装場じゃないんですかぁ?もしかして、最初から捨てる為用の部屋だったりー?」










銀さんに続いて新八。











「あ、そうだァー♪せっかくだしィワタシ達に車見せてもらえないィ〜?」











その後神楽ちゃんと、工場の人間を徐々に刺激した。










「は!?;;;んなの、見せれる訳ねぇだろ!?;;;」










「えー?だってただの車なんでしょー?なら見たって悪いこたぁないじゃーん」









「だよねぇ〜。それともぉー、何か見せれないものでもあるのー?」










「いっ、いや、そんなことはないんだけどもっ!;;;…――あ、そうだっ!;;外部の者には完成するまで車は見せるなって指示があったんだった!;;


わざわざ来てくれたのになんかすみませんでしたねぇ」









…――目が泳いでる。何かを隠してる以外に考えられない。










とはいえ、こちらも証拠なるものは何も持っていない。そうやってふさぎこんでしまれれば、警察としては手出しが出来ないのもまた事実。










―――ザッザッ










「本当に、車を作るためだけの工場なんだろうなぁ?あぁ?」










「言っちまった方が楽になりますぜぇ?」









――ある時気づいた。なんで皆は私よりも前に出ているのだろうかと。









さっきまでは私の前に居たのは近藤さんと銀さん達だけの筈なのに。










「(コソッ…――名前ちゃん。ここは俺達に任せて、この工場の真相を暴いてくれ」










不思議な光景に頭を抱えていると、隊士の1人がコッソリ私に話しかけた。










『(コソッ…――私が?』










「(コソッ…―幸い、ここの部屋にいる従業員は少ない。俺達が名前ちゃんの姿を隠してるから、その隙にあの扉から探ってほしい。


…これは、局長直々の指示なんだ。どうか聞いてやって欲しい」









『…―――近藤さんが?』










…―――まさかあの人、私にこの事件を託して……。










私はギュッと拳を握りしめる。私を隠してくれている多くの広い背中を見つめて。









『…――ここは任せますっ…!』










―――タタタタッ……

















『―…はぁっ…は……。


何て迷路のような工場なの……』










裏口から飛び出した私は、とりあえず目の前にあった階段を上がってみたものの思っていたよりも複雑な構造をした建物の問題に立ちはだかっていた。










――……ザワザワ










『…―!!………(サッ』










歩いていると、数人の男の声が微かに聞こえた。偶然開いていた部屋に入り身を隠す。









「…――そういやぁ、今真選組のヤツら下に来てるんだってよ!」










「はぁ!?;;;ちょ、それヤバイだろ!;;;もしアレがバレでもしたら!;;」










「まぁ大丈夫だろ。傍から見りゃアレはただの車だ、分かりゃしねぇよ。


もし知られたとしても、あの人がただでは帰さねぇって」









「…―まぁそれもそうだな!…―それよりも、この前の女のアレ…――」










数人の男は私の事には気付かず、下品な笑い声を通路に響かせながら去っていった。










…――やっぱり、ここは普通の工場じゃない…。…確かアイツら、傍から見たら車…だとか言ってたけど…。










ここまで来た経路を思い返してみる。よく考えると、私はまだここに来て一度も車の姿を見ていない。それよりも、車の工場だというのに大きな機械でさえ目にしていないのだ。










…――どこに、どこに車はある…?










――…タタタタッ……










『…――ここにも無い……。……車ってどこにあるんだよ、くそー…;;;;』









いくら部屋を探しても車らしきものは見つからない。ガランとした部屋ばかり。








『…――はぁ、駄目だ。これじゃキリがない…。


せっかく近藤さん達が行かせてくれたって言うのに…っ』









もどかし過ぎる。だけど、こんなところで止まっている訳には行かない。









『…絶対見つけてやる』
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