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□怪我と手当と
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なんだか今日のトビくんは一段とからかう頻度が高い気がする。
・・・右横腹は見た目は背中と同じくらいだったけど、そんなに深くはないみたい。
「…トビくん、ちょっと右腕上げててくれる?」
「はーい!了解っス!」
おぉ、素直に聞いてくれた。良かったー・・・
ポム
「・・・え?」
頭に…手が乗ってきた
「ん?どうかしましたー?」
「え、いや、手・・・」
「ずっと上げてるのも疲れちゃいますしー、目の前にちょうどいい手置きがあったし、どうせ浅いからすぐ終わるでしょう??」
手置きって何?ツッコミたかったけどなんとなくスルー。ていうか浅いって分かるんだ・・・
(治療に集中集中)
***
治療中邪魔をするなと言われて暇だから髪を弄っていた。今は髪を結んでいないため、サラサラした髪に指を通して遊んでいたら早くも横腹の治療は終わりそうだ。
「今度は結構早いっすねー!」
「まぁ浅かったしね!・・・で、最後は頭・・・なんだけど。・・・仮面、どうしよう」
「うーん、まぁユキちゃんが誰にも言わないなら、仮面取ってもいいっスよ?」
「え!?・・・え、いや悪いし、無理しなくてもいいよ?」
・・・意外に頑固だな。変なところで気を使わなくても良いものを・・・。
渋るユキの手を掴み、自分の方へ引き寄せて耳元で呟いた。
「仮面を取って治療するかしないか、どっちだ」
「!?」
手をいきなり引かれた事に驚いているのか、俺の変わりように驚いているのか…まぁ両方だろうが。
「ず、ずるいですよ…それほとんど脅してません…?」
「ククッ、さぁ どうだろうな?」
言いながら俺は仮面を外していた。もう選択肢はない。いや、元からなかったのだ。
「やりますよ…、というか別に治療したくない訳じゃなかったんですけど…」
***
諦めてトビくんの顔を見ると・・・傷どころか血一滴もなかった。
「!?あれ!?…え!?」
な、何で!?確かにあの時血を流してたのに・・・!
「…頭の方はユキが他を治療している間に治った。」
ニヤリと笑った顔に不覚にもまたドキリとしてしまった。
「フッ…」
「っ…!!っそれより何で治ってたのにわざわざ仮面取ったの!?」
顔が赤くなったのを少しでも誤魔化すために顔をそむけながら怒った。
「お前はもう少し男に対して警戒をするべきだ・・・でないと…」
グイっと顔を前に戻され、目の前に、赤い眼が見えて、唇に柔らかい感触がした。
「!?!??」
「…俺のように襲うやつが出てくるぞ」
「な、な、な…!!」
「そして俺の名は…うちはオビトだ。この名前と顔のことは誰にも言うな。言った場合は・・・歩くことはおろか、立つことも出来ないようにしてやろう。まぁユキなら歓迎するが。」
(ト、トビくんって、へ、変態なの…!?)
(オビト、だ。それと変態とは失礼だな)
(おーい、ユキ?)
(あ!先輩!ユキちゃんチャクラの使いすぎで疲れたみたいっス!)