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□滲む景色
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あぁ、愛おしい。その警戒した顔も、不安そうな顔も、全て。
俺…"トビ"へと悩みを打ち明けるその声も。無知が罪とはよく言ったものだ。純粋に俺へと相談しているユキ。
まぁもちろん知らぬ振りをして答えるが。
「アジトだとあんまりしないと思う…でもたまに感じるの。外へ行くともっと見られてる気がして…」
アジトだと他の奴らがいるから気配はなるべく消しているからな。
「アジトでもですか〜。侵入者だったら誰一人として気付かない訳ないですしね〜。・・・うーん、ユキちゃんが好きでやってるとか?」
まぁもし他に実際するやつがいたら俺が嬲り殺しにしてやるが。
「だよね・・・。え!?す、好き!?」
初々しいその反応と顔に更に愛しさが増す。誰にもこの顔は見せたくないな。
「え、い、いやさすがにないでしょー!だって暁のみんな以外あんまり話す人いないし!」
・・・"あんまり"いないだと?では少なからずいるということか…?暁の他メンバーと話しているのも腹が立つが、俺が知らない奴らと話しているのはもっと気に食わない。…探して消さねば。
「…一目惚れとかありえますよー?だってユキちゃん可愛いんだし!」
自分で言っておいてなんだが、させないがな。したらさっき同様消してやろう。
ユキの顔は赤くなっていて、とても理性を擽られる。それから逃げるように…ユキと話した穢らわしい何処ぞの奴を消すために名残惜しいが話を切り上げる事にした。
「ウフフー、あ、そういえば僕デイダラ先輩に呼ばれてたんで失礼しますね!視線のことはこっちでも調べてみまーす!」
あくまでも視線の事が分からない事を演じて。
「あ、うん!ありがとう!!」
安堵したようなユキの声に笑いが出そうだ。なんて純粋な子だろうか。そこも愛おしい。
さて、ユキと話した奴は誰だ?…ユキが最近行った里を虱潰しに調べ、・・・潰せばいい。
愉快でたまらない。ユキは俺だけのモノだ・・・。本当はユキを見るやつ全て消したいが、トビでいる以上行動は限られてくる。
まずはあの里だな…。