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□滲む景色
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燃えていく家や人。逃げ惑う人。
上がる悲鳴に煩く思う反面笑みが出てしまう
「ふ、無様だな。」
とりあえずユキの行った里はこれくらいか。あまり多く潰しすぎるとさすがに怪しまれてしまうな。
!!
この気配とチャクラは…
「ト、ビ・・・??」
何故ユキがここにいる…?しかもこんな夜更けに。
「トビ・・・デイダラに呼ばれてたんじゃ…?しかもこの里はただの普通の所なのに…どうして、、」
その口で他の男の名を呼ぶな…!!そう言ってしまいたいが、俺は"トビ"でいなければ。
「あぁ、用事はもう終わりましたよ?ところで僕も聞きたいんですが、何でこんな夜更けにユキちゃんがこんな所にいるんスか?」
「…この里に、薬草を買いに来たの。前来たときなくて、薬草を売ってる人が夜には入荷できるって聞いたから、」
「もしそれが罠だとしたら?どうするつもりだったんスか?」
話している最中だったが遮って言った。少しいつもの巫山戯た様子じゃなかったが、まぁ今回は、な。さすがにユキは優しいといえど警戒心がなさすぎる。
「わ、な?それはないよ!以前からこの里の人達にはお世話になってる!」
それを聞いて余計にこの里を、もっと潰したくなった。いまだ上がる悲鳴とまだしぶとく生きている気配が少しする。…まだ途中にユキが来てしまったからな。
「ユキちゃんは危ないんで離れてて下さいね」
ユキの体を抱え木の上に降ろして俺はまだ残る奴等を殺しに行った。
***
一瞬でトビくんに抱えられて木の上へ降ろされた。
そしてまだ生き残って逃げている人たちを殺し続けるトビくん…。
どうして!?この里はお世話になってるのに…!!薬草だって、食料だってほとんどはこの里からの物だったのに!
それにデイダラがいないってことはこれは任務じゃない、単独で里を潰すなんてペインさんが許可するはずないのに・・・!
そんな事を考えているうちにトビくんは普段のお調子者とは思えないくらい、残酷に命を消していく。
「ひぃい!あ、あぁ、ぁ・・・!!た、すけ…!!こ、この子だけは…!!!」
その助けを呼ぶ声と傍で冷酷な雰囲気を放つトビくんを見て私は急いで木から降りて走った
「フッ、命乞いか、醜いな。」
間に合え!!
ザシュ!
急所を斬られて倒れた女性、その腕にはまだ立つことすらできないだろう子供がいた。
女性は間に合わなかったけど、この子だけでも・・・!!
「…ユキちゃん、危ないから離れて下さいって言った筈なんスけど?」
小さく泣いている子供を腕の中で抱きしめる。なんとか間に合った・・・!
…トビくんの口調や声は普段と何も変わりはない…けど、明らかにいつものトビくんと違う。
「・・・どうして任務外なのにここまでしてるの?」
「…その子供殺すんで離れてください。穢らわしい血でせっかくの白い肌が汚れちゃいます」
「私の質問に答えて!!」
「答えてあげますから、その子供から離れてくれません?」
・・・何故か最近感じていたあの視線を思い出したが、それどころではない。
あの明るさは何なのだと思うくらいに冷たく言い放つトビくんにゾッとしながらも、負けじと言う
「いや!離れたら、殺しちゃうんでしょ!?まだこんな、子供まで・・・!」
「ハァ…分かりましたよ。至って簡単ですよ。ユキちゃんと話して、ユキちゃんを見たから・・・ですよ」
「!??い、意味が、分からない・・・!!」
どういう、事なの!?話したから…?見たから…?
「別に難しく考えなくても、そのまんまの意味っスよ?ユキちゃんを見て触れて話せるのは僕だけなのに。」
「ッ!トビくん、どうしちゃったの!?」
「どうしたと言われましてもねぇ…。それより薄々気付いてるんじゃないっスか?視線の正体。」