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□滲む景色
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…そう、さっきトビくんが言った言葉でなんとなく分かってしまった。





「視線の正体は僕だってこと。」


「ッ…、本当に、何があったの…!?トビくんは、」

「さぁもう僕は質問に答えたから、ソレから離れてください」




すごくショックだった。視線の正体がトビくんだったことも。こんな事をする意味も。・・・子供を、ソレ呼ばわりする事を。



だから私は油断していた。色んなことがあって情報処理に追い付けておらず、子供を抱きしめている腕の力が弱まっていた。



それをトビくんは見逃さずに私の懐へ一瞬で入って、小さな子供を蹴り飛ば した。




「!!やめて!!!」



空中へと蹴られた子供は、











トビくんの飛ばしたクナイで心臓を突き刺されて息絶えた






「…ッ!な、んで…ッ!」



「何で?それはこっちが聞きたいっすね。何で数回行ったことがあるくらいの里へそんなに情が移ってるんでしょう?・・・あぁでもそういう優しさがあるのがユキちゃんでしたね。」



ザッ



崩れ落ちている私の後ろへ来て、いつもより少し低い声で言った





「ホントは一緒に住んでる暁の他メンバーも全員皆殺しにしたい所なんですけどね。」




言い終わった途端私は怒りで振り向きざまにトビくんを平手打ちしようとした、が、驚く事に手はトビくんの顔をすり抜けた。




座ったままだったからかバランスを崩し倒れるかと思ったら手を強く引かれてトビくんの胸へ飛びついた形になってしまった。




「やっ!はな、して!」


「その怒った顔も泣いてる顔も震えてる声も体も全部全部僕だけのモノにしたいんスよ。ねぇ?」

ユキちゃん?


と、耳元で囁くように言った。



得体のしれない恐怖が体中を巡っていった。




「く、狂っ、て、るよ…!」



「なんとでも。」



なんとか出したせめてもの言葉もトビくんに軽くあしらわれた。




「じゃあ狂ってる僕がこのままユキちゃんを誰の目も届かないところに攫って行こうかな?」




いつも通りに振る舞うトビくんの口調に何故か更に恐怖が湧いてきた。






「ッや、だ!み、んなの所に…!」





「・・・皆?暁の事ですかね?…あーあ、もっと帰したくなくなっちゃったな〜。」




纏う雰囲気が、もっと冷たくなった気がした。とうとう堪えていた涙が出て来た。




「泣かないでくださいよー・・・・・・僕の目見てください」



トビくんは私の目元の涙を指で拭いながら言った。


っ…!絶対見るもんか…!

ギュッと目を閉じて俯いて反抗の意思を見せた




「…ハァ…強情っスね。…まぁ仕方ないっすから暁に帰してあげますよ」



「!?え、?」


あっさりと言ったことにビックリして・・・目を開けてしまった



グイ、と無理矢理紅い瞳・・・写輪眼と目が合ってしまって、意識が遠のいていく。



「なんてね、僕嘘つきっスから。」

「やっと、ユキを・・・」




その言葉と頬にこぼれ落ちる涙を拭う感覚を最後に景色は黒く、闇が広がっていった。










→あとがき
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