short
□日常の1つ
2ページ/3ページ
「そういえばユキちゃんってあっちの世界ではどんな事してたんすか?」
「…うーん、勉強とバイト…くらいかな?」
「へー!勉強って、その年でも何ですか?」
「あぁ、ここではアカデミーだっけ?しかないんだよね。私のところではね、主に小学校と中学校と高校の三段階で勉強をするの。小学校では6年間、中学校では3年間、高校ではだいたいは3年間勉強して社会へ出るんだよ」
まぁ高校卒業して、大学っていうところに行く人もたくさんいるけどね。と説明するとテンションが見た感じ落ち込んでいる気がした
「・・・12年間も、勉強するんスか?」
あ、あたりだ。声がいつもより暗い。
「まぁ、義務教育ってあって、それで最低でも9年間は勉強しなきゃいけないの。・・・トビくん勉強嫌い?」
「最低でも9年間勉強だなんて…まぁ、好きではないっすね…」
・・・話題、変えた方がいいかな?心なしかげんなりしてない?
「…ユキちゃんってちっちゃいっスよね。」
と思っていたところに先にトビくんが話題を変えてきたって、それすごい失礼じゃないかな?ん?
「…私デイダラじゃないよ」
「ほわほわしてて何考えてるのか分からないし。」
「ゼツに言ってあげれば?」
「腕すごい細いし…」
「小南さんの方が細いし綺麗だよ」
「全然オシャレとかしないし…」
「トビくんに言われたくないよ」
…あれ、トビくん私の言ってること聞いてるのかな。会話が噛み合ってない気がする。いや会話なのかすら・・・。
スッ
トビくんはぶつぶつ言っていたけど黙って、静かに立ち上がった。
前に立たれて何故か威圧感を感じた。
トビくんに威圧感を感じるなんて末期かな
「・・・・・・優しすぎてお人好しなのは頂けないっすね」
「…へ?」
「何で個性を通り越して異常な僕ら見ても特に反応がないんでしょう」
「え、して欲しかったの?」
「顔面ピアスや鮫や壁の中を移動できる植物生やした人や半裸や不死身見ても怖がらないし、泣きもしないし。」
「…それほとんど悪口じゃな」
「爆発見ても死に至る毒見ても血まみれ半裸見てもただビックリしてるだけ」
「いやさすがにちょっと怖かっ」
「危機感や警戒心って知ってます?ここは今まで小南しか女はいなかった。それ以外は全員男だぞ。」
「…あれトビくん?口調とか声変わって」
「いくら平和な世界にいたとしても男への警戒心は持つべきだろう。何故フラフラとそんな近寄れる。誘うような行動もたまにして、飛段らへんが襲ったらどうするつもりだ」
・・・会話のキャッチボール出来てなかったのに、今度はいつの間にかキャッチボールからドッヂボールに変更してたんだけど。せめて最後まで言わせてよ
それよりトビくんどうしたの?いつにも増してマシンガントーク(…いやトークになってなかったね。)だし、口調も声も雰囲気もいつもの調子者が微塵も感じられないし。
そうこう考えている間もまたぐちぐちと言っている。いつまで続くんだろうか・・・
「聞いているのか」
ガッと両肩を掴まれて鼻と仮面がくっつきそうなくらい顔を寄せられて怒られた、のかな?
「は、はい!と、トビくん?どうしたの?」
思わず返事が敬語になっちゃったけど気にしない
「…ハァァァ」
うわすごく長い溜息つかれた
溜息したいのはこっちだよ
なんて思ってしまった。怒ってるっぽいトビくんの前でそんなこと言えないけどね
「ハァ、怒る気も失せた。何故そこまで鈍いんだ。」
とそれはもう呆れたような声も溜息も隠さずに言って離れた。
「に、鈍いって・・・」
言い終わる前にガチャりと扉が開いてデイダラが帰ってきた
助かった!!ナイスタイミング!!
言えないかわりに表情で振り向くと、刺さるような視線がきたけど知らない!
「デイダラ!おかえり!」
「お、おう?ただいま?」
「先輩おかえりなさーい!帰ってくるの意外に早かったっすね!」
「あぁ、そんなに大した用事じゃなかった。うん。・・・で、さっき真剣な話でもしてたのか?なんとなく空気ピリピリしてねぇ?」
!す、鋭い!!え、ホントにすごい!!
答えようとしたら前にたっていたトビくんが抱きしめるようにして倒れてきた
「!?わぁぁあ!」
お、重い・・・!!ちょっ、トビくんさすがに重いよ・・・!!
「そーんなことないっすよー♪ねーユキちゃん!」
さっきの雰囲気や声は何処へやら。
知らない内に緊張してたのか体に力が入っていて力を抜くと更に強く抱きしめてきた。
重いし苦しいって・・・!
「う、そうだ…ね…!!それより、おも…!」
「トビイイイイ!!!!」
すごい形相でこちらへ走ってくるデイダラを見て思った
非日常の日常が続いたらいいな
.