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□雨と雲
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今日は非番のトビを連れて薬草探しを手伝ってもらう・・・予定だったユキだが、運悪く探している途中に雨が降り出した。





「ごめんねトビくん…折角の休みの日に連れ出した挙句雨まで降っちゃって…」


「なぁんでユキちゃんが謝るんスか?ちょうどからかう人もいなくて暇だったんでいいっスよ〜!天候なんてどうしようもないしね!」




申し訳なさそうにユキは謝るが不満の声も上げずに言い返しているトビ・・・だが、一体誰をからかうつもり?と言おうとしたけれど答えはほぼ分かっているので苦笑いで流した。




「ちょっと暗くなってきたね、雨だからかな」


「いや、降る前は夕方前でしたし、そろそろ日が落ちるんでしょうねぇ。まぁ雨だからどっちにしろ暗いですけどね!」



「そ、だね。うーん、野宿になっちゃうかな」



「まぁそうなっちゃいますね。」




話しながらユキ達はちょうど洞窟を見つけ、そこで野宿をすることにした。




「さ、寒い…ね」



「そうっすか?じゃ僕の外套貸してあげますよ」



「いや、それだとトビくんが寒くなっちゃうから、大丈夫だよ」



「いやいや女の子なんだから風邪引いたらいけませんし」



「大丈夫私これでも医療忍者だから・・・クシュンッ!」




寒さで少し震えているユキへトビは外套を着させようとしているが断り続けるユキ。


だがくしゃみをしてしまい、思いきり寒さを表現してしまった。




「…ほら。もー風邪引いちゃいますから〜」

「で、でも…」



懲りずに断り続けるユキを見かねてか、トビは次の行動へ移った


「じゃ、ちょっとこっち来てください」


「?」



何だ?と思いながら立ち上がってトビの前へ行く。


「!わっ!」



バサリ、と、視界が暗くなり驚くユキ。



「こうすれば二人共暖いでしょ?」



視界を遮っていたのはトビの外套で、それに包まれていた。上から声が聞こえ見上げると見慣れたオレンジ仮面があった。

ユキはあまりの密着と抱き締められている事に(男に慣れていないため)ドキドキしながらも答えた


「、うん、そうだね」


「ウフフ…って、ユキちゃん体めっちゃ冷えてるじゃないっすか!」


「そう?…トビくん温かいねー」


緊張はするが寒さには勝てずにトビの腕の中で頭をグリグリとトビの胸板へ押し付けたユキ。


「っ・・・!誘ってるんスか…?」



「?何を?」


「いえ何でもないっす」


***


その行動に確信犯かと思ったが、色々と鈍い彼女は無意識だろうな・・・


無意識は中々たちが悪い


「・・・雨、止まないねー」


「そっスね〜、でも雨のおかげでユキちゃんとこんなに近くなったし偶には悪くないっすね!」



「!?え…っと、え、そ、そうだ、ね・・・?」



冗談半分本気半分で言ってみたら、こう言った言葉に慣れてないのか焦った様子のユキ。


…何だか楽しくなり更に追い討ちを掛けるようにユキをもっと強く、体と体の隙間がないくらい抱きしめて密着させた。




「!?」




肩をビクリと上げ、体を固くさせた



…そういった反応が面白いのだが、この少女は知るよしもないのだろう



「いやーユキちゃんちょうど良い抱きしめ具合だし、なんかイイ匂いするし・・・でも体が冷えてるのは頂けないですね」



「、、いや、トビくんが温かいから今はもうそんなに寒くない…よ?」





「って言ったって、ホラ。手、すごく冷たいですよ?」




抱きしめ具合だとかイイ匂いだとかの方はサラッと無視したユキの手を取ると手袋越しでも分かるくらい冷たかった。





「わ、トビくん手袋してるのに温かいね…アハハ、何もかも温かくて、人間カイロみたい」



さっきより反応が鈍くなってないか…?目も虚ろになってきている。




「人間カイロて…ユキちゃん?」




途端に俯き、此方へ体を傾けてきたユキを不審に思い見ると…






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