レイトン教授
□ハジマリのお話
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「パ、パーティーを開く?」
それは突然の出来事だった。
執事であるサジェスは少し疲れたような顔をしながら私の問いに頷いた。
「旦那様が事業に大成功したということでして…身寄りの方や関係者を呼んでパーティーを開きたいと、つい先ほど。」
「まさか、そのパーティーって…。」
「お嬢様の予感の通りかもしれません。明日に開くそうです。」
「父のことでしょ、当然分かる。」
2人で溜息を吐いた。
私の父、パレス・ユスネラーはマイペースな性格だった。
そしてなんといっても単純な人だった。
事業に失敗すれば1週間ぐらいは肩を下げ過ごして、成功すれば今回みたいに突然何の予告もなしに奮発したがる。
そんな性格に、見ての通り執事も振り回されっぱなしだ。
…もちろん娘である私もね。
けど、考えてみればパーティーを開くっていう提案は初めてかも。
他の方が開催しているパーティーには何度か父や母に連れて行かれた記憶は残っている。
人がいっぱいで、豪華な服を着て、金色があちらこちらにあって…。
…けど、あんまりパーティーは好きじゃなかったような気もする。
私たちだけが知っているパレス・ユスネラーはマイペースで単純な人だが世間の彼への印象は違う。
世界でも名が高い企業の社長。
母曰く父のことは世界の人々はほとんど知っているというのだ。私には信じられないけど。
しかし、そんな彼の娘である私はお陰さまで
普段着にはドレスを着なされ、
少し荒々しかった口調も矯正され、
歩き方、身だしなみ、仕草まで全て見直された。
小さい頃から冒険や探検が好きだった私は、大きくなったら遺跡調査だったり色んな街を調べたりしたいなと、夢を膨らませていた。
だが、やはりこの環境では無理なのだ。
正直かなりこんな生活にはうんざりしてあるが、父のお陰で裕福で幸せな生活を送れているので何も言えないのだ。
「サジェスだけ、なんだよねえ。」
今、本当の私を見せているのって。