カフェ・ギムナジウム

□6.苦悩の楽園
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院長の執務室。事務室に当たるのだが、そこも院長のこだわりで「執務室」と呼んでいる。

『乙女フェスタ』の旧制高校カフェの準備で、慌ただしく毎日が過ぎてゆく。
その合間にも、公式サイトの更新は欠かさない。ご意見・ご要望の欄も、森田が一つずつ目を通す。

「院長、グッズやコスプレ衣装を出してほしいという要望が多数あります」

「ああ…それも考えたんだけどね…」

院長は机に頬杖をついた。

「エンブレムの入った文房具とかハンカチとか。でもそれをレジ横に置いちゃうと何だかファミレスっぽくなって、学院のアンティークなイメージが台無しになるのよね〜」

「通販、というのはいかがですか?」

「受注や発送に人手がいるし、どこかに委託しても費用がかかるもの」

グッズを出したとて、どの程度売れるか不明だ。増設の問題がある今、できるだけ出費は抑えたい。

「コスプレ衣装もね〜、万が一うちの偽物のカフェが現れたりしたら…」

「そ、それは考えすぎでは…。院長、偽物というより真似た店なら、オープンするという情報がありますよ」
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