カフェ・ギムナジウム

□8.背徳の楽園
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「虎牙、冷たいじゃん! 学院内であんまり話かけてくれないし、休日だって一緒に出かけてくれないし」

虎牙の目は一瞬、ミツキの不安そうな表情をとらえたが、すぐに戸惑ったように逸らした。

「…何か必要なことがあれば、ちゃんと話してるじゃねーか」

「必要なことだけ? じゃあ、ボクが虎牙のことを好きなのは、必要じゃないの?」

外灯に照らされた虎牙の頬が、少し赤く染まっている。

「わかってるよ。けど、オレは…その」

明かりとミツキの詰問するような視線から逃れるために、虎牙は体をよじらせた。

「“その”? 何?」

「どう、接していいかわからねぇ。誰かとこんなふうに付き合ったことねーし…」

虎牙の胸元が不意に温かくなった。ミツキが虎牙を強く抱きしめている。こすりつけられた頬の温かさが、シャツ越しに伝わる。第二ボタンまで開けているせいで、柔らかな癖毛が肌をくすぐる。細い指が虎牙のジャケットの背をしっかりとつかむ。

「虎牙のばか」
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