カフェ・ギムナジウム

□あとがき
2ページ/4ページ


“主人公は誰なんだ”

主人公は、“お嬢様”と呼ばれる読み手の皆様だったり、章によっては院長だったりします。

始めは室内や『乙フェス』などのシーンも三人称視点にしてましたが、せっかくなので読み手の方にもお客様気分を味わっていただこうと、このような形になりました。

そのため、特に冒頭の室内の様子のシーンは工夫しました。

人間は、視覚や聴覚や嗅覚などで情報を得ます。

初めて入るカフェがあったとします。
視覚は意識して使うことができますが、嗅覚と聴覚は塞がない限り無意識に働きます。
ドアを開けた瞬間、BGMがさほど大きくなければ、まず嗅覚が働きます。
その中でも香りの強いコーヒー、焦がしバター、カラメルソースが真っ先に入ってくるでしょう。

次に聴覚ですね。室内はあまり騒がしくないので、クラシック調の音楽が耳に届くと思いました。

最後に視覚。テーブルや椅子はほぼ満席なので、まずは目線の高さにある窓やカーテン、目立つシャンデリア、正面奥にある暖炉などが目につきます。

そういった点で、リアリティを持たせ、読み手の皆様にも臨場感を味わってもらえれば、と考えました。

逆に、素材はいい物を使い、生徒たちの給料もいいのに、客数が多いとはいえ割とリーズナブルで採算が取れるのかとか、院長が机を叩くと銅製の文鎮が宙に浮くとか、そういうナンセンスな部分も入れて、全体的に堅い話にならないようにもしました。

(つづく)
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ