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□優しい未来を。
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ベジータはブルマの身体を寝室のベッドにそっと横たえる。

ダレかがみていたら目を疑うような己の行動に
ベジータ自身困惑しそうだった。


そのまま離れようとした矢先、ブルマの腕が伸びてきてベジータの首に絡み付く。



まったく……この女は………。


ギュッと引き寄せられたベジータはブルマの髪をそっと撫でる。







「ベジータ…………」




耳元でブルマが寝言を囁いた。

胸がぎゅうっと締め付けられる。

こんな感情、生まれて初めてだ。


どんな感情よりも先に
俺を支配してしまう。


俺の本能は逆らえないまま王子としての理性さえ失わせる。



そんな女はオマエが初めてだ。


ベジータは曖昧な表情のまま、ブルマの絡んだ腕を解き、ベッドから離れた。





―――――――


翌日―



「ふ……ああああ〜。

やだ…もう朝なの?」


目を覚ましたブルマはベッドの上で目を擦る。

なんだか胃がムカムカした。



そうだ……あたし、ヤムチャと話してたんじゃなかったっけ。

お酒飲んでたから、眠っちゃったんだわ。
もしかして、ヤムチャが運んでくれたのかしら…。



思いながらベッドから脚をおろすと、突然ドアがあいてベジータが入ってきた。




「あら、ベジータ!

どうしたの?また重力室?」



ツカツカと歩み寄るベジータに言うが、ベジータは黙ったまま腕組みをしてベッドに座った。

その顔は少し不機嫌そうだった。



「貴様の母親が……二日酔いとやらに良い食い物を用意してるらしい。

食ってこい。」


「え?やだ、ママったら。

あたし二日酔いになんかなってないのに。

あ、それよりベジータ。ヤムチャ知らない?」



ブルマの言葉にベジータの気がグッと増幅する。
もちろん、気など感じられないブルマにはそれがわかるはずもなかった。



「昨日アイツが久しぶりにきてさ。

飲みながら話してたらいつの間にか潰れちゃったのよ。
多分、アイツがここまで運んでくれたんだと思うんだけど。

ねえ、もう帰った?」

「……………。

知ったことかッ。」




ベジータがすっくと立ち上がる。

ブルマは目をまるくした。


「ちょ、ちょっとなに怒ってんのよ、ベジータ!

ヤムチャと飲んだのが、気に入らなかったの?」


「ウルサイ!

勝手にしやがれ!」


バタンとドアを乱暴に閉めてベジータは出ていく。


ブルマは呆気に取られてその後を追うことも出来なかった。


「なんなのよ!!

訳も言わずに怒ることないじゃない!!

バカッ!!!」


プンプンしながらリビングへいくと、ブルマの母がニコニコしながら待っていた。



「ブルマちゃん。おかげんどお?」


「うん、大丈夫。
でも機嫌は最悪!

あ、ねえママ。ヤムチャは??」


「ああ、ヤムチャちゃんね。

昨日ベジータちゃんと喧嘩しちゃってね、帰ったみたいなの。

ベジータちゃん、ブルマちゃんのことベッドに運んでくれたから、後でお礼言っておいてね。」



「え………?。」



ブルマはパンに伸ばしていた手を止める。


その時ようやく理解出来た。

昨晩なにがあったのか。


なんでさっきベジータがあんなに怒ってたのか。


―――――――



「ベジータ。

ねえ、居るんでしょ?開けてよ。」



重力室前。ブルマは扉を叩きながらなかにいるベジータに呼び掛けた。

中から返事はない。

相当怒っているのかと思った矢先、扉が開いた。



「………なんだ。」



ブルマをなかに入れながらベジータが不機嫌そうに尋ねる。


ブルマはそのベジータの腕にそっと自分の腕を絡めた。

ベジータが目を見開く。



「な、なにし…」


「ママから聞いたわ。

ごめん。あたしが無神経だった。

ありがとう。運んでくれて。」


「……………。」



ベジータが黙り込む。

ブルマはニッコリ笑いかけた。



「ヤキモチやいてくれてたんでしょ。

ヤムチャに。」


ニヤリと笑うとベジータが顔を真っ赤にさせて否定する。


「や………ヤキモチだと?!

ば、馬鹿げたことを言うな。俺がそんな…」


「あら。嬉しかったわよ?」



微笑むとベジータは耳まで赤くなった顔をそっぽに向ける。
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