僕らの心 長編

□甦る
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(竹中目線

バシャッ

「ふぅ…」

池の中も気持ち良いが
やはり空気も素晴らしい

髪から雫が垂れ額を伝い池に落ちる

「!…この音は」

遠くから聞こえる足音

少し走っているな

これは…


調子丸…だったか


なにやら不吉な予感がして池に潜った


「あ、あれ…いないじゃないですか…ハァ…あぁ怒られたらどうしよう…考えただけで胃の調子が…うぅ」


…私を探しているのか


顔を出すかと思った時


「しかし妹子さんの死と竹中さんに何の関係が…」


動きが止まる

瞬時に息を潜め聴覚に神経を集中させる

なんだって…イナフが…死んだ?


「太子の様子もおかしいし…ぁぁ…違うところ探しに行こう…」


調子丸が去ったのを確認して顔を出した


「どうゆう、ことだ…」


太子が私を探している…?

イナフが死んで…?

慰めて欲しいのか…?

いや、違う

きっと…


背筋が凍る


嫌な想像をした

いや、まさか、そんな

だって、私たちは親友だろ?

疑ってるわけ、ない

「…太子に会いに行くか」

「私から来たから大丈夫だよ竹中さんっ♪」

「!?」

振り返れば近くの岩場に太子がニコニコと座っている

ただ目は眼だけは笑っていない

「会いたかった竹中さん」

太子が一歩近づけば

身体が震え始める

太子の周りの気が異常だ

身体が動かない

カチカチと歯がぶつかりあい音がする

「なんでそんなに震えるの?……あぁ、そっか」

太子が私の頭をグイッと引っ張る

完全に笑みが消え

憎悪の顔で

「妹子を殺したからか」

そう呟いた

違う、そう言いたいのに声が出ない

なんで?なんでだ太子…

私たち親友じゃなかったのか?

「魚風情が…よくも私の妹子を…この罪、ただで済むと思うな…死罪でも足りぬ位だ…」

た、いし……
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