詰め合わせ

□初詣
2ページ/2ページ




オマケ

獄門処にて


「来たのか」

「預かり物があったからな」

「預かり物?」


鎖に繋がれた弟は首を傾げる。
差し出した物を見て珍しく驚いた顔をした。


「此れは?」

「灯からお前に贈り物だ。灯の手作りだから味は確かだが…食べるか?」

「食べる」


即答。
綺麗に彩られた花びら餅。
甘い物が好きなこいつが食べないはずがない。

よほど嬉しかったのか空気が和らいでいる。


「此れも預かってきた」

「御守りか…」

「灯が作った。
身体に気をつける様に云ってたな」


弟は無言で御守りを受け取った。
急いで狐の面をかぶり、蹲る。


「照れてるのか」

「違う」


耳が赤い。
御守りを握りしめているところを見ると、喜んでいる事が分かる。
今こいつが犬になれば千切れんばかりに尻尾を振っている事だろう。

白子は微笑んで独房の扉へ手をかける。


「待て。
………灯に礼を云っておいてくれ」

「ああ、分かった。
また来る」


白子が出ていった独房で、小太郎は花びら餅を食べながら御守りを見つめる。


「…牛蒡」


想像よりも甘くなかった。
それでもななしが自分の為に作ってくれた事が嬉しくて、黙々と口の中に餅を頬張る。

面の裏は幸せそうに口元が緩んでいた。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ