職場で繋がる
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「灯〜、一緒に帰るぞ」
と云いながら、腕を広げて迫ってきた天火。
その肩をガシリと掴んだ白子。
なんて見慣れた光景なのだろう。
「何すんだよ、白子。俺の癒しタイムを邪魔すんな!」
「天火こそ、人の彼女に触らないでほしいな」
二人とも笑っている。ただし、目以外。
「早く別れろ」
「それは出来ない相談だな…」
手を引き寄せられれば、そこはもう白子の腕の中。
これも慣れたようなものだが、女子からの視線がとても痛い。まるで突き刺さるかのようだ。
『ちょ、離し…』
「一生、手離すつもりはないから」
プロポーズ同然の言葉に一同 凍りつく。
天火や数人の女子生徒と男子生徒は涙を流す。お代だけを置いて、店から飛び出す人もいた。
ちょ、もう 誰か…
『穴を掘って下さい!』
嬉しいけど恥ずかしすぎるから!
とりあえず、一旦 白子の腕から抜け出そうとしても 白子の腕が緩められる事は無く暫くはそのまま。
空気を読んで、注文をする人もいなかった。
穴があったら入りたいとはこの事だ。