職場で繋がる

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「灯、天火」

「『ん?』」

「ランチセットの試作を作ってみたんだけど…」


得体の知れない何か(白子曰くランチセットの試作)からは紫色の泡が発生しており、魚の尻尾や目玉のようなものが見える。
そのランチセットとやらからは異臭が発生していた。
いつもより気合を入れて作ったのだろう。

素早く天火が店の窓を開く。グッジョブ、天火。換気は大切だ。


『…駄目』

「今日のはいつもより上手く出来たと思うんだけどな」

「やめとけ、白子」


あの天火さえ、真面目に止めに入る。これを出せば客の命に関わる。


『でも、私も思ってた。そろそろランチタイム用のメニューを取り入れたら如何かなと』

「この前、お客さんにランチセットとかは無いのかって聞かれてね。ずっと考えてたんだ」

「…だからって、それ出すなよ」

『誰かいないかな。料理が得意な‥…あ』


どうしたものか、と考えて頭に浮かんだのは一人の少年。
家事万能。料理が得意で、気だて良し。天火も同じ人物を思い浮かべたらしい。


「でもあいつ、部活あるしな」

『だね。流石にこれ以上負担はかけたくないし』

「空丸か…。バイトに来てくれたら戦力になるけどね」

「別にいいですよ」

『いやいや、駄目だよ。身体を大切に』

「生活費もお兄様達が稼ぐから、子供は遊んどけ!」

「そうだね。学生の内は やりたい事をやるのが一番だ」

「「『………空丸』」」


バッと振り向けば、扉方面には学校帰りの空丸が佇んでいる。
空丸の気配を感じなかった。よほど話にのめり込んでいたらしい。

空丸は真剣に私たちに近づく。


「俺も休みの日は手伝えるし、そろそろバイト探そうかと思ってたんだよ」

『でも…』

「大丈夫 成績も落とさないし、部活も手を抜かない。
だから、お願いします。白子さん」


私と天火の視線は白子へ向かう。
白子は空丸の瞳をジッと見てから、フワリと笑った


「こちらこそ宜しくな、空丸。」


ありがとうございます!と頭を下げる空丸。

無理をしない事を条件に天火からもバイトを許可され、無事に働く事を許された。
また賑やかになりそうだ。

因みに、空丸が考え出したランチセットは見事に売れた。
白子の料理が出される事は無くなり、お客は全員無事である

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