職場で繋がる

□03
1ページ/1ページ


「ただいまっス!」

『おかえり、宙太郎。もうすぐご飯できるから、手を洗って居間で待ってて』


元気に返事をして中へ入る宙太郎。いつもなら、それだけなのだが今日は違った。


「おじゃまします」

『牡丹⁉』


仕事終わりなのだろうか。
鞄を持って現れた牡丹。彼女は宙太郎の担任である小学校の教師。
私と天火の高校生時代の友人の一人でもある。


『久しぶり!どうしたの?今日は』

「久しぶりに貴方の顔が見たくなってしまいまして。ついでに、来週の授業参観のお知らせを」

『あ、空丸は来週だったっけ。日は違うから行けると思う』

「是非、来てあげて下さいね。宙太郎君、楽しみにしてましたから」


助かる事に二人の参観日は店の定休日と被っている。
天火は勿論、白子も可能なら連れて行ってみようか。その方が空丸も宙太郎も喜ぶ。


『比良裏は?』

「まだ仕事です。この後、合流する事になっています」

『…デートですか。いやぁ、若いわ』

「なっ⁉そういう灯だって白子殿とはどうなんですか」

『都合が合うときは出掛けてるよ。まぁ、あの子達も居るから程々に。
あ、景光は元気?』


話題を変える為に、牡丹の家のお隣さんの話を出してみる。
彼の名前は曇 景光。
彼は佐々木 清綱という男性と同居していて、宙太郎と結構 仲が良い。
因みに、彼も私達 高校生時代の友人である。

同じ曇の性を持っているが、血は繋がっていない。
ご先祖様 繋がりじゃないか、と私は密かに思っている。

まだ二人 曇の性を持つ者が居るのだが、それはまた後日に。


「ふふっ、元気ですよ。景光殿も天火殿や灯に会いたがっていました」

『じゃあ、また今度 店に顔を出すように伝えて。サービスするから』

「おっ!牡丹か」

「お久しぶりです。おじゃましています、天火殿」

「比良裏とは上手くいってんのか」

「…またですか」


流石の牡丹もうんざりとした顔をする。
ごめん、牡丹。


「灯姉ー!お腹 空いたっス!」

「俺も腹減ったー」

「ただいま…って、牡丹さん⁉」

「部活、お疲れ様です。空丸君。
では、私はそろそろ」

「食べていかないんスか?」

『この後、比良裏と待ち合わせだって』


成る程、と三兄弟は納得した顔を牡丹へ向ける。その視線に居た堪れなくなったのか、「それでは、おじゃましました」と彼女は逃げる様に去っていった。
耳が赤かったな‥…うん、可愛い


『さ、中に入って。ご飯にしましょうか』

「手伝う」

『空丸は休んでなさい!』

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ