職場で繋がる

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「灯姉!あれ、見てきてもいいっスか⁉」

『いいよ。終わったら此処で集合ね』

「あいっ!」


本日は宙太郎を連れて、近くのショッピングモールへ来ています。

この時期の子供は、すぐに身長が伸びて一年前の服が着れなくなってしまう。
兄達のおさがりばかりでは可哀想なので、偶には新しい服を買ってあげたくなるのです。
因みに空丸は部活、天火はバイト。いやぁ、楽だ。


「お、灯か?」

「なんや、一人で買い物か?」

『…どちら様?』

「…冗談でも泣くで」

『冗談だよ!久しぶり。景光、比良裏』


懐かしい友人達。ああ、話なら牡丹から聞いていたか。


「もう少し、マシな冗談をつけよ」

『やだなぁ、ノリだって』

「ノリに聞こえへんわ!
…そういえば」


景光の話が長引きそうだったので、すぐそこの椅子に三人で座る事にした。
二人からは先程の笑顔が無くなり、真剣な顔を此方へ向ける。


「灯、悪い連中と関わってたりしてるんか?」

『してないけど。何かあった?』

「この前 俺達の家の周辺を変な奴等が彷徨いてたから、声を掛けてみたんだが…」


そんな変な連中に声を掛けるとか、凄いな。と感心してみる。


「彼奴等、灯の事を探しとった。かなり必死やったで。もうすぐ、そっちの方にも行くかもしれん」

『…え』


思わぬ知らせ。
いよいよ巫山戯ていられなくなり、ガタリと立ち上がる。

景光の家から職場や神社まで、かなり近い距離だ。確かに、私を探しているなら此方へ来るかもしれない。
まだ知らぬ連中に背筋がゾッとした。
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