職場で繋がる

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今日は空丸の参観日。
天火は勿論、白子も一緒に高校へ訪問中。

授業中の教室に静かに入り、空丸を探す。案外、簡単に見つかった。今は数学の問題に苦戦している模様。
にしても、周りが騒がしい。

空丸も、その騒がしさに疑問を抱いたようで、ゆっくりと後ろを振り向いた。


「兄貴!姉貴⁉白子さんまで‼?」

「空丸!俺達が見にきてやったんだ、頑張れよ!」

「天火、煩いよ」


冷静にツッコミを入れる白子。
私は恥ずかしいので、隅っこの方へ移動する。空丸もはずかしそうに顔を赤く染めていた。


『…ん?』


ふと感じた視線を辿れば、そこには とても可愛らしい女子生徒。
空丸の隣の席の子で、私と視線が合うと焦ったように下を向く。


「誰か気になる子でも居た?」

『妃子!久しぶり。
授業はどうしたの?』


いつの間に横にいたのか。
私の隣で微笑む素敵な女性。
佐々木 妃子。彼女も学生時代の友人です。
今はこの高校で科学を教える美人教師。

ついでに、今 顔をしかめながら数学の授業をしているのが安部 蒼世。
天火の友人で、私と白子とは頻繁に喧嘩していた仲。
学生時代は生徒会長でした。


「この時間、一年生の授業は無しよ。三年生の方はあるけど、別の教師が受け持ってるわ。」

『成る程。
ねえ、妃子。あの子の名前は?』

「ああ、風魔 錦さんね。
剣道部のマネージャーよ。この前、男子生徒に絡まれていたのを空丸君が助けたみたい。
すっかり空丸君に懐いちゃって」

『この辺は同じ苗字が多いねぇ』

「そういえば、白子君の弟の苗字も風魔だったわね」


白子の弟、風魔 小太郎。
生まれつき片目が失明していて、眼帯をしている。
今は一人暮らしをしていて、仕事は…無し。今度、一緒に働かないか誘ってみようと白子と会議中です。

二人は母子家庭で、二人を育てきれるほどの お金がなかった母親は身を切る思いで、白子を養子に出したらしい。


『風魔は昔、忍集団だったみたい。嘘だったとしてもロマンがあるね!錦ちゃんや白子達も先祖繋がりで縁があるんじゃないかなと思いますよ』


会話しているうちにチャイムが鳴る。
「起立、気を付け、礼」という懐かしい号令で授業は終了。

空丸と蒼世が鬼の形相で天火達に向かって行く。妃子もクスクスと笑いながら、その輪に入っていった。

目立つなぁ
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