職場で繋がる
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「あ、あの!」
『……君は』
呼ばれた方を向くと、そこには先程まで話題になっていた 風魔 錦。緊張しているのか、手が震えている。
「私、風魔 錦と申します。空丸様のお姉様ですか?」
……様付け。
空丸、慕われてるな。
『はい、曇 灯と申します。空丸がいつも お世話になっています。』
「い、いえ!私の方がお世話になっていて…お弁当も作ってきて下さるんです」
『…なんと』
確かに最近、空丸は弁当箱を二つ持っていくようになった。
てっきり、武田君の分だとばかり…
「空丸様には数えきれない程の恩があります。どうにかして、恩返ししたいのですが…空丸様は何でも出来るので…」
『……錦ちゃん。なんて健気な!』
感動に震えながら、錦ちゃんを天火達の輪の中に引っ張っていく。
是非、紹介しなければ!
「錦⁉」
『空丸、こんな良い子がいるのに話してくれないなんて…お姉ちゃん、がっかりだよ』
「空丸の彼女か‼?」
「空丸の方が先に彼女が出来るなんてな。お前も頑張れよ、天火」
「なんだとぅ!喧嘩売ってんのか、白子」
「あら、そういう仲だったの?」
「…勉強や部活に支障が出ないのなら、許そう」
皆、云いたい放題。
錦も真っ赤になっている。可哀想な事をした。
『違う違う。
この子は風魔 錦ちゃん。空丸に恩があるそうで、その恩を返したいそうです。って事で、従業員として働いてもらったら如何かなと』
「ちょっ、姉貴!錦だって用事が」
「働きたいです!空丸様のお役に立てるなら!」
「俺は大歓迎だけどな!仕事が減る!」
「そういう事を堂々と云わない方が良いよ。
じゃあ、錦さん。今度、履歴書を書いて店の方へ来てもらっても大丈夫かな?」
「はい!宜しくお願いします」
一週間後、可愛い従業員が一人 増えました。…料理が白子と同レベルだったので、接客にまわってもらってます。