職場で繋がる

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ピンポーン

とあるアパートの一部屋。職場の休みを利用して白子の弟宅へ訪問する。
インターホンが鳴っても、中では人の動く気配すらしない。

居留守か、コノヤロー。

なんて口の悪い事は決して思っていない。きっと居ないだけだ。
そう信じたい。


「居留守か」

『疑う事もせず、居留守と判断するとは…』

「中に人の気配があるからね」

『成る程。
じゃあ、如何しますか?鍵もかかってますし』

「大丈夫だよ。」


ポケットから見えた何か。
如何見ても鍵では無いソレを鍵穴へ差し込み、数秒後。カチャリという音がする。


『……』

「さ、入ろうか」

『…流石』


何事もなかったように中へ入る彼。周りに人が居なくて本当に良かった。


「まったく、また散らかして…」

『小太郎、もう昼近くですよ』


中は想像以上に散らかっていて、その中に一つある空間に人が横たわっている。
ろくに料理は作らないようで、カップ麺やコンビニ弁当などのゴミがゴミ袋に大量に入っていた。


「…ああ、お前達か。どうした?」

「どうした?じゃないよ。こんなに散らかして」

『一緒に住めばいいのに…』

「それをして一番 困るのは灯だけど、それでも良い?」

『……今の発言、無しでお願いします』


ゴミを片付ける手は止めずに、軽口を云いあう。一部、意味深な台詞もありましたが…。

大分 片付き、落ち着いて座れる場所が確保できたところで小太郎に本題を伝えてみる。


『さてと…小太郎、働きましょう』

「……また唐突だな」

「最近 バイトを雇い始めてね。
もう一人くらい欲しいから、誘いに来たんだけど…」

『一人以外は全員 小太郎の知り合いだから、馴染みやすいかなぁ…と』

「…曇 天火と空丸か」

『もう一人が可愛い女の子で、風魔 錦ちゃんって子です。
小太郎は接客、苦手ですよね?だから、キッチンの方で菓子作りの補助をしてくれれば助かるなと思いまして』


腕を組んで、考える素振りを見せる小太郎。これは いけるかもしれない。
白子も同じ事を考えていたらしく、私と目を合わせるとコクリと頷く。
早くも最終手段を使うらしい。


「お前の食生活は心配だからな。一緒に働けば、まかない として料理が提供出来る」

『因みに、スイーツ付きです』

「働こう」


即答でした。
やはり、今も昔も甘いものには目が無いらしい。
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