loud voice
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西暦2071年
あの暑くて堪らない日と打って変わって、冷たく凍えそうな日。
誰も居ない家で一人、朝食をとる。もうすぐ配給の日だなとまだ寝ぼけている頭でコップに口を付けた。
そんな中、いつものように響くノックの音。皿を片付けた私はマフラーを巻いて扉を開ける。
扉の前には私と同じ年の少年。三年前、私が助けた少年だ。
「…はよ」
『…おはよう』
あれから少年は暴力をふるう事を止め、私に付きまとうようになった。何が面白いのか毎日こうして朝になっては自宅を訪れる。
開けた扉からは冷たい外気が舞い込み、少年の鼻は少し赤く染まっていた。
「今日は壁の方に行ってみようぜ!」
『あの壁はそろそろ危ないと聞いた。危険なのでは?』
「それが面白いんだよ。大丈夫、少しだけだ」
好奇心旺盛なのは変わらない。
あの壁は脆くなっている。近々補強しないと、とゴッドイーター達が話しているのを聞いた。
すこし胸騒ぎを覚えながら、私は引き摺られるように壁付近の居住区へ向かっていった。