loud voice

□07
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エントランスは相変わらず騒がしい。行く当てもなく顔を下に向けてただ歩く。
髪をダランと垂らしながら歩く私の姿は幽霊のように見えるだろう。

…にしても、騒がしすぎるのでは?


「ヒバリちゃん!」

「おい、別のオペレーターは⁉︎」

「いない!くっそ、こんなときに限って」


階段を下りた先では受付の少女を取り囲む沢山の人。
確か、彼女はオペレーターと受付を担当している少女だ。その彼女が地に倒れている。


『何故、誰もオペレーターを変わらない』

「俺達はゴッドイーターだ。オペレーションのやり方なんて…」

『…』


此処にはサクヤさん達のようなゴッドイーターだけではないらしい。
まぁ、この人達の気持ちも分からないでもない。やり方も分からない仕事を誰だってやりたくないだろう。
しかし、だ。誰かがやらなければ現場のゴッドイーターが死ぬかもしれない。


『……この人は医務室へ。きっと貧血だ』

「お、おう」

『このマイクは借りる』


彼女のマイクを装備すると、イヤホンから声が聞こえる。
どこかで聞いた事がある声だ。


《おい!どうなってる》

『…根暗フードか。オペレーターは体調不良。私が代わりに担当する。
……お前の任務内容は?』

《…ヴァジュラ一体、任務は完了だ》

『それ以外にもう一体接近中。大きさからすると…中型。
迎えはもう少しで到着予定』

《中型か…そいつも俺がやる》

『…駄目だ』

《…なに?》

『私個人としては賛成しかねる。
お前の活動限界時間は残り約30分。その中型が強敵だった場合、その中型との戦闘途中にまた敵が乱入してきた場合も考慮したか?お前は今 単独での任務。もう少し慎重になれ。
…中型の到着まで残り約1分。迎えの到着まで約5分。
どうする?』


長々と話してしまったが、選択はあくまで現地の戦闘員に任せる。
私は素人、相手はベテランのゴッドイーター。一度冷静を取り戻せばあとは正しい判断をしてくれるだろう。


《…チッ、迎えの到着まで身を隠す》

『了解。迎えの到着残り1分になったらまた連絡する。
取り敢えず任務完了、お疲れ様』


…疲れた。
知らぬうちに手が震えている。こんな気持ち初めてだ。


「なんの騒ぎだ…お前は」

『オペレーターが貧血の為、オペレーションを代行した。
申し訳ない』

「…お前が?
丁度いい、支部長がお呼びだ。一緒に来い」


行き先は懲罰房か、監禁か、それとも開放か。
出来るならば一度でいいから家に帰りたい。帰るべき大切な場所だから。
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