詰め合わせ

□初詣
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「あけましておめでとう!灯ちゃん」

『あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします』


曇神社へ初詣に来る町の人。
其々に挨拶を済ませ、灯は慌ただしく動き回る。


『白子さーん!空丸ぅー!準備できましたぁ?』

「出来たよ。」

「今からそっち持って行く!」


町の人が待ちに待っていた甘酒。
灯、空丸、白子の三人は甘酒を参拝者へ配っていく。

終わりが見えない長蛇の列に溜息を漏らす。
昨日、遅くまで動いていた所為もあるのだろう。灯の身体には少々、疲れが溜まっていた。


「姉貴、休憩してこいよ。」

『まだ動けますよ』

「疲れてるだろ!」

「空丸の云うとうりだよ。昨日からろくに寝てないだろ」

「何云ってるんですか、白子さんも休憩して下さい。
兄貴と宙太郎に手伝わせますから」


灯と白子は顔を見合わせ困った様に笑う。
空丸は云い出せば聞かないだろうと二人は諦めに近い感情を抱いた。


『じゃあ、お言葉に甘えて』

「無理だと思ったら直ぐに呼ぶんだよ?」

「分かりました」


休憩と云ってもやる事がない。
途方に暮れた二人の足は自然と神社へ向かう。


「折角だし、参拝しようか」

『そうだねぇ、早く戻らないと空丸が大変だ』

「そうだな」


灯と白子は逸れないように手をつなぎ、賽銭箱の前まで到着する。

神様なんて信じていないが祈らせてもらおう。


(三兄弟が元気であります様に)


最後に


(この手の温もりを、ずっと側で護れます様に)
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