詰め合わせ
□引け目
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夢主は団子屋の町娘です
「おばちゃん、ななしいるか?」
「あら!天火君。お誕生日おめでとう。
ななしはさっき休憩に出て行ったばっかりなんよ。暫くは帰ってこないと思うわ」
「そうか……。ありがとな」
あからさまに肩を落として店から出て行こうとする天火。
天火の捜している人物、ななし。実は天火の恋人だ。
団子屋のおばちゃんは、そんな天火を見てクスクス笑う。
ななしが見つからない事が余程 悲しいらしい。
「天火君、これ お祝い」
スッと差し出したのは団子 10本程。天火が来ると予想していたようで、団子は綺麗に包まれていた。
その包みを天火は嬉しそうに受け取る。既に彼の腕の中には贈り物らしきものが複数 抱えられていた。
「ありがとう。あいつらと一緒に食わせてもらう」
「天火君!もう少ししたら来るといいよ。その頃にはななしも帰って来とるやろし」
「わかった!」
店から出て、天火は走り出す。
きっとななしが見つかるまで町中を捜すつもりなのだろう。
走る先々で町の人から呼び止められているおかげで、ななし捜しは難航しているようだが。