詰め合わせ
□mariage
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『綺麗…』
晴れ渡った空。
華やかな式場では白いスーツとドレスを纏った花婿と花嫁が幸せそうに微笑んでいる。
『完璧に行き遅れだよ』
会社内の同じ歳で独身なのは彼女だけだったのに私だけ1人取り残されたような気持ちになる。
もうそろそろ三十路。早くいい相手探さないとな。
「お、ななしか?」
『鷹峯さん!』
会社の上司、鷹峯さん。
外見は怖いが、すごく優しくて仕事が出来る。いかにもモテそうな人で入社した当初から惹かれている。噂では彼女持ちらしい。
そんな人に惚れている私は馬鹿だと思う。
「どうした、そんなとこで黄昏て」
『いやぁ、行き遅れたなと思いまして』
「そんな事云ったら俺はどうなんだ。もう36だぞ」
『……まさか独身ですか』
「云うな」
ふいと気不味そうに顔を逸らしながら煙草を吸う鷹峯さん。
意外だ。ボンキュボンのグラマーな彼女がいると思っていたのに。
モテそうだというのは間違っていないと思う。でも他の女性も鷹峯さんの雰囲気で美人な彼女がいるのではと思ってしまうのではないだろうか。
『鷹峯さんは格好良いし、お相手は直ぐに見つかりますよ。
私は女にすら見られません。髪も肌のケアもしてませんしね』
云って少し後悔。
これでは私が鷹峯さんをどう思っているかなんて暴露たようなものだ。
鷹峯さんも気まずい顔はやめて私をジッと見つめてくる。
「そうか?綺麗だとおもうけどな」
『……冗談でも照れます』
綺麗だなんて初めて云われた。
それも真顔だから勘違いしてしまいそう。
今私の顔は真っ赤になっているはずだ。そろそろ見つめるのはやめてほしい。顔に何か付いているのかと不安になってくる。