ラクサス

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「オーレリア殿はおられるか」


背に大剣を背負ったいかにも屈強そうな男が、オーレリアがいま所属しているギルド『一つ目巨人の盾』を訪れていた。

オーレリアまたかと思いながら立ち上がる。

大々的に噂が流れてしまったせいで、オーレリアに決闘を挑んでくる武芸者があとを絶たないのだ。

ギルドの中でも浮いてしまうのでオーレリアはあまり良くは思っていないが、強者に闘いを挑む気持ちは理解できるので、ひとつひとつ受けてたっていた。



挑戦者を倒した後、近場の仕事を片付けて家へ帰る。

オーレリアが借りたアパートは比較的街の中心部に近く、外装も綺麗な好物件だった。

いくつも部屋がいるほどの荷物はないし、必要最低限しかおかないオーレリアにはこの上ないアパートだ。

木製の階段を上ってオーレリアが扉を開ける。


「あれ、鍵がかかってな」

「よう!おかえりー」

「おかえりー」

「勝手にごめんね。興味あったから……」

「!!?」


何故かナツ、ハッピー、ルーシィがオーレリアのリビングでくつろいでいた。


「えっえ、鍵は……」

「ごめん……」


ドアと壁を繋いでいた鍵部分が無惨にも壊れていた。


「ごめんなーまた今度弁償するわ」


ナツが謝ってくるのに笑っていいですよ、と答える。

オーレリアは荷物を置き鎧を脱ぐと、紅茶を淹れにキッチンに向かった。


3人と1匹ぶんの紅茶をもってオーレリアがリビングに戻る。

ナツたちは、もの珍しげにキョロキョロと部屋を見回していた。


「オーレリアの部屋って、本当に質素ね」

「そうですか?」

「あい。エルザなんかはああ見えて女の子っぽいのが結構あるよ」


ハッピーの言葉に、オーレリアは少なからず驚く。

同じ剣士ということもあり、エルザもまた自分と同じように女らしい趣味はしていないと勝手に思い込んでいたのだ。


「あたしはオーレリアの方が以外だけどなぁ。オーレリアって結構女の子っぽい顔してるのに鎧もゴツいし趣味もシンプルなんだもん」

「確かに、顔にあんま合わねぇな」

「あい」

「そ、そうですか?」


逆に自分を意外と言われてオーレリアが戸惑う。

見かけに関しては、本当に今まで気を使ってこなかったし、人の目を気にしたこともなかったのだ。
そもそもオーレリアの周りにいたのが屈強で武骨な者ばかりだったことも影響している。


「わ、私も少しはそういうこと意識した方がいいんでしょうか?」

「うーん別に##NANE1##が嫌なら無理しなくて良いと思うけど、勿体ないとは思っちゃうな。折角こんなにかわいいのに」

「か、かわ……」

「その気があるなら今度一緒に買い物に行こう!ね?」

「……はい」


すっかり女同士の会話になって暇していたナツが、首を突っ込んでくる。


「俺と勝負すんのも忘れるなよ」

「あ、はい」

「もうナツ、割り込んでこないでよ」


そのあと夕飯をともにし、やがてナツたちは最後まで騒がしくしながら帰っていったのだった。






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