ラクサス

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「……え、もうマグノリアを発つの?」


となりに座って肉を頬張るエリオスに、オーレリアが驚いたように言った。

その手のフォークのケーキが落っこちたが、それも気にせず首をかしげる。


「おう。元々お前と立ち合いするためにこっちに来たんだし、
負けたから早く修行をし×э△σ※●」

「食べてからしゃべりなよ」


頬が膨らむほど肉を詰め込んだ口をモゴモゴして、飲み込む。


「取りあえず、次はお前に勝てるように思いっきり鍛えてくるから覚悟しておけよ!」

「……はーい」


オーレリアが少しあきれたように返した生返事にエリオスは満足そうに頷き、パンに手を伸ばした。

一口食べたところで、エリオスが「そういえば」と口を開く。


「なんでお前がラクサスと闘わないのか考えたんだが」

「え、またその話?もうほっといてよ……」


逃げたそうに少し身を引いたオーレリアをまっすぐに見て、エリオスがいった。


「オーレリア、お前、ラクサスのこと好きになっただろ」


腰を浮かせかけていたオーレリアがそのまま硬直する。


「…………………は?」

「いやだってこれぐらいしか理由がないだろ。
それくらい昔のお前はおっかなかったんだよ」


ひとりで納得しかけているエリオス。

オーレリアは慌てて食いついた。


「ちょっと、何でそんな結論になったのかは知らないけど、違うからね!?」

「そうか?案外気付いてないだけかも……」

「あーもうやめ!」


珍しく大きな声で騒ぐオーレリアに、周りの人々か注目するのを気にして強引に遮る。

エリオスはといえば、笑いながらオーレリアの頭を撫でて「そーいうことにしといてやるよ」と言うばかり。

オーレリアは、年下とはいえど何となく子供扱いされているような気がしてふくれた。


「お、」


突然、エリオスがなにかに気づいたような顔をしてオーレリアの向こうを見る。


「おーいラクサス、折角だから一緒に飲もうぜ!」


そのままの姿勢で固まるオーレリア。

そんなオーレリアの様子をよそに、エリオスはさっさと自分の隣にラクサスを引っ張ってくる。
椅子に座るラクサスは、自然と目が合ったオーレリアに手をあげて挨拶をする。


「よォ。オーレリア」

「こ、こんにちは」


心の準備ができていないオーレリアは、ひきつった顔で笑った。






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